私の長引くメンタル疾患はひょっとして、いわゆる「カサンドラ症候群」なのではないかと思い調べてみました。
するとあまりにも当てはまりすぎているので、ここにメモをまとめておきます。
内容を要約するとカサンドラ症候群とは:
アスペルガー症候群(ASD)を持つ配偶者、あるいはパートナーと情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉。
症状は:
精神症状
不安感、抑うつ、パニック発作、自己肯定感の低下、PTSD、無気力、情緒不安定、罪悪感など
身体症状
不眠、体重の増減、頭痛、倦怠感、動悸やめまいなど
回復へのヒント:
・カサンドラ症候群自体は薬では治せない。関係性を改善して乗り越えるしかない。
・いい意味での「開き直り」と「距離感」が必要。
・線引きをして、自分の中で折り合いをつけていくことが大切。
・「私」としての考えを持って、何を選ぶか自分で選択していくこと。
この記事が、夫婦二人でいても常に孤独を感じている方の助けになれば幸いです。
カサンドラ症候群の概要
カサンドラ症候群の概要
カサンドラ症候群の人は、家庭でも世間でも誰からも理解されず精神的に孤立し続けています。
アスペルガー症候群の伴侶を持った配偶者は、コミュニケーションがうまくいかず、わかってもらえないことから自信を失ってしまう。また、世間的には問題なく見えるアスペルガーの伴侶への不満を口にしても、人々から信じてもらえない。その葛藤から精神的、身体的苦痛が生じるという仮説である。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
夫との情緒的交流がうまくいかない妻は、何が何だか理由はわからないけれど苦しい、周囲は苦しんでいることを理解してくれないという二重の苦しみの状態にある。本人が問題の本質がわからないこと、周囲が問題の存在さえ理解してくれないこと、この二つの要素が現在のカサンドラを巡る問題の本質になっている。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
カサンドラ症候群という名称
カサンドラという名前はギリシア神話の王女の名前です。
「カサンドラ」とは、ギリシア神話に登場するトロイの王女の名前です。太陽神アポロンより予言の力を授かりましたが、その力によりアポロンに捨てられるという未来を予知したためアポロンの愛を拒絶します。怒ったアポロンは「カサンドラの予言は誰からも信じてもらえない」という呪いをかけ、カサンドラは真実を知り伝えても人々から信じてもらえなかった、という話があります。
この「身近なパートナーとの関係性を周囲から理解してもらえない」境遇を重ねて、「カサンドラ症候群」と呼ばれるようになります。
カサンドラ症候群とは?症状や治療法、どのように向き合うべきか対処法について解説 | あらたまこころのクリニック
カサンドラ症候群の歴史
1997年に概念が考え出されたこの症候群は、2003年からカサンドラの名前がつくようになりました。
非アスペルガー症候群の配偶者や家族がアスペルガー症候群の行動の影響を受ける状態は、もともとは「鏡症候群」と言われていた。これは、1997年にアメリカのFAAAS(アスペルガー症候群の影響を受ける成人の家族の会)が考え出したものである。特に、診断されていない成人の発達障害の場合に生じるとされる。非アスペルガー症候群の家族は、常に一緒に生活するアスペルガー症候群が表すペルソナ(外的人格)を、少しずつ長い時間をかけて映し出すようになる。孤立し、誰からも正当性を認められない。
「鏡症候群」は数年後には「カサンドラ現象」に変更され、2003年にFAAASの会議で「カサンドラ情動障害」として初めて公表された。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
カサンドラ症候群の症状
カサンドラ症候群の症状
カサンドラ症候群の症状は「精神症状」と「身体症状」があります。
カサンドラ症候群の主な精神症状には以下のものがあります。
- 不安感
- 抑うつ
- パニック発作(突然の動悸やめまい、手足のふるえが起こる発作)
- 自己肯定感の低下
- 心的外傷後ストレス反応(PTSD)
- 無気力
- 情緒不安定
- 罪悪感
カサンドラ症候群の主な身体症状には以下のものがあります。
カサンドラ症候群とは?症状や治療法、どのように向き合うべきか対処法について解説 | あらたまこころのクリニック
- 不眠
- 体重の増減
- 頭痛
- 倦怠感
- 動悸やめまい
ちなみに私は、精神症状も身体症状も全て当てはまっています。
もちろん夫だけが原因とは言えません。
カサンドラ症候群の診断
カサンドラ症候群の明確な診断基準はありませんが、カサンドラ症候群は3つの要素からなっています。
3つ全てが当てはまる場合には「カサンドラ症候群」の可能性が高いです。
カサンドラ症候群には次の要素があるとされています。
カサンドラ症候群 | 大阪メンタルクリニック・梅田院
- 少なくともいずれかのパートナーに、アスペルガー症候群の特性などによる共感性や情緒的表現の障害がある
- パートナーとの関係において情緒的交流の乏しさを起因とした、激しい対立関係、精神または身体の虐待、人間関係の満足度の低下がある
- 精神的もしくは身体的な不調、症状(自己評価の低下、抑うつ状態、罪悪感、不安障害、不眠症、PTSD、体重の増減など)がある
私の夫はアスペルガー症候群としてはグレーゾーンだと思います。
ただ夫は小学校の通信簿に毎年「自分勝手なところがあります」「もっと他人に思いやりを持ちましょう」と書かれていた事が判明するなど、他者への感情や共感の面で私ではどうしても理解し得ない部分が多々あり、要素1は当てはまっているように思います。
要素2は1つ、要素3は全て当てはまっているので、自己診断で私は「カサンドラ症候群」なのかもしれないと思うに至りました。
アスペルガー症候群の人との結婚
アスペルガー症候群(ASD)の人との結婚は、異なる文化的背景をもつ二人の人間の関係に例えられます。
「自分のパートナーなら当然理解できるだろうとか、私の気持ちをわかってくれている、と推測するのはやめるべきだ。アスペルガー症候群のパートナーが自分の考えを理解していると期待するのは、目の見えない人になんのヒントも与えず、『私が手に持っているものを当てなさい』、と言っているようなものだ。」
マクシーン・アストン『アスペルガーのパートナーと暮らすあなたへ 親密な関係を保ちながら生きていくためのガイドブック』より- カサンドラ症候群 – Wikipedia
アスペルガー症候群(ASD)の人に悪気はないとは言え、結婚相手であるカサンドラ症候群の人の苦しみには、すぐにわかる苦痛からなかなか理由のわからない生きづらさまで様々な形があります。
発達障害の特性が人によってさまざまなように、カサンドラの女性が抱える苦悩も一人ひとり違う。夫からの言葉による暴力により、長年の生活で人格を否定されるような精神的苦痛を抱えている人もいれば、夫は優秀で会社でも家でも優しく何でも受け入れてくれるが、妻が深い情緒的な交流がまったくないことにいつも孤独を感じていることもある。
後者の場合は夫が社会的にも優秀な評価をされており、カサンドラ自身が悩むことに罪悪感を持ってしまう。その罪悪感を自分でも受け入れられず、何が起きているかわからないまま抑うつ状態になってしまう。後者の方が言葉の暴力より被害が少ないともいえるが、後者であってもその苦しさは決して軽いものではない。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
私は明らかに後者です。
夫は会社でも優秀だし人当たりがよいと親戚受けも良好ですが、私は家の中では常に孤独です。
夫と喜びや悲しみを分かち合ったり、思い出話を語って笑い合ったり、病める時苦しい時に助けてもらったり、そういうドラマの中の夫婦のような事は一切ありませんし、私が悩みを打ち明け始めると自室に逃げてしまいます。
夫が私の生活のペースに合わせてくれることはなく、ひとり先に起きてひとり先に食べてひとりで活動してひとり先に寝てしまいます。
それを辛いと思ってしまう自分はおかしいのだと罪悪感でいっぱいになり、次第に誰にとっても無用な存在である自分を早く消したいと思うようになりました。
カサンドラ症候群の治療・対処法
治療
治療方法は、症状への対処療法しかありません。
カサンドラ症候群に対する治療法としては、症状として現れているものへの対処療法が主流になります。片頭痛やめまい、自律神経失調症が現れている場合は、休息や薬物療法を行います。また、抑うつ症状や不安障害などが起きている場合は、適切な薬物療法と認知行動療法などを組み合わせて、症状の緩和に努めます。
あくまでも対処療法であるため、カサンドラ症候群を根本的に治すのであれば、アスペルガー症候群などのASDのあるパートナーとの関係性を改善したり変化させたりすることが最優先です。パートナーと一対一で孤立した状態を続けるのでは、どんなに薬物療法などの治療を行っても、根本的な解決にはなりません。
カサンドラ症候群 | 大阪メンタルクリニック・梅田院
対処法
それでは、アスペルガー症候群(ASD)の人とはどのように関わっていけばよいのでしょうか。
5つのヒントを具体的に紹介します。
①パートナーにASDの診断を強要しない
パートナーに対して、「もしかしたら、あなたはアスペルガー症候群かもしれない」と無理に精神科などに受診させようと勧めると、本人のプライドなどから気持ちを傷つけてしまいます。その結果、さらに関係が悪化することにもなり得るでしょう。②ASDの特性や適切な対応方法について知識を得る
アスペルガー症候群などのASDの特性について、客観的にどのようなことが苦手で、どのような解釈をするのかなど、障害への理解を深めることで、パートナーに対して適切な対応ができるようになります。③お互いの行動を理解し、生活上のルールを決める
お互いの行動の理由を伝え合い、相手の行動への理解を示します。
そして、お互いが納得いく生活上のルールを決めていくことで、相手を尊重して生活していけるでしょう。④距離を置いたり関係性を変えたりする
環境を変える方法としては、別居や物理的な距離をとって関わる密度を減らす方法があります。
また、パートナーと一対一の関係性を続けるのではなく、間に第三者が介入することも方法の一つです。⑤発達障害者支援センターや精神科などの専門機関に相談
カサンドラ症候群 | 大阪メンタルクリニック・梅田院 (抜粋)
アスペルガー症候群などのASDであると理解しているパートナーであれば、一緒に専門機関に相談することで関係性の改善につながることがあります。
また、カサンドラ症候群の当事者が集まる自助グループがあり、相談や共感を得られる同じ境遇の方たちと共に時間を過ごすことで、治療につながる場合もあるでしょう。
Wikipediaにアスペルガー症候群(ASD)の人との心の通わせ方が具体的に書いてありましたので、ここに貼っておきます。
アスペルガー症候群の男性と心を通わせるには、結果の見通しを明確に伝えることが重要で、言語化や情報化がポイントになる。話の内容を把握し、将来の見通しをつけることは、物事を正確にとらえ、突然を嫌うアスペルガー症候群男性には大切なことだ。 もう1つ重要なことは、絶対にアスペルガー症候群男性を責めないことだ。アスペルガー症候群男性は自分が周囲からマイナスに評価され、否定されたと受け取る傾向がある。妻からの要求や意見は否定的な評価や非難に受け取られる。妻が意図していなくても、妻から夫に要求するという形になりがちなので、感情を含まない無機質の情報として伝えることがカギになる。どのような行動をするのが望ましいのか、一般論として伝えることが有効だ。アスペルガー症候群の人に対して「どうしてやってくれないの?何回も言ったでしょ」とプライドを傷つけるような責め方をしたり、「なんであなたはそうなの?」と曖昧な表現をするのは逆効果になる。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
回復と副作用
離婚や別居をしないでカサンドラ症候群から回復するためには、極論を言えば自分を変えるしかないのです。
まずは大事なのは、自分の中から罪悪感を排除することです。
カサンドラの心の回復の第一歩は、まず自分が悪いのではないと気づくことから始まる。夫がアスペルガー症候群であることが夫婦の問題の原因だと知ることは、症状の改善に役立つ。ただし、原因が自分ではなく相手であると喜ぶわけではない。長年の苦悩の理由が、アスペルガー症候群の特性とどのように関連があるのかを丁寧に読み解くことで、夫の不思議な行動の原因が見えてくる。それが理解されて初めて、その原因が自分ではないことに合理的な確信が持てるのだ。 しかし、「自分が悪いわけではない」と思えるだけでカサンドラの状態を完全に脱することはできない。回復に最も役立つのは周囲の理解である。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
そして、パートナーに負けないように振り回されないように「自分」「自分」「自分」の事だけを考えて行動する事が大切です。
大切なことなので3回言いました。
カサンドラ症候群は、疾患ではなく「現象」である。その結果、身体症状が出たり、本当に病気になってしまうこともあるが、カサンドラ症候群自体は薬では治せない。カサンドラ症候群を超えていくには、いい意味での「開き直り」と「距離感」が必要になる。線引きをして、自分の中で折り合いをつけていくことが大切だ。妻でも母でもなく、「私」としての考えを持って、何を選ぶか自分で選択していくことを求められる。「相手がこう言ったから」とか「子どものために」ではなく、自ら選択し、「これは自分のためにやっている」と思えたとき、カサンドラ症候群を乗り越えているのだ。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
ただし、それは自分もアスペルガー症候群のように振舞うことに他なりません。
これが「カサンドラ症候群」のことを当初「鏡症候群」と名付けていた所以です。
カサンドラ状態から抜け出るときには、副作用がある。それは、常に合理的な説明を心がけるようになることや、アスペルガー症候群男性の自己主張に対抗するために、自分の気持ちを譲らずしっかりと自己主張していくことから生まれる。物事を合理的に考えていくようになると、カサンドラの思考パターンも常に目的を持つことを意識するようになり、無駄なことには価値が見出せなくなることがある。本当の自分の上にアスペルガー症候群としての特性が出てくるのだ。そのため、アスペルガー症候群以外の人間関係におけるコミュニケーションに影響が出て、自分が周囲から浮いているとか、以前より嫌な人間になったと感じることがある。
カサンドラ症候群 – Wikipedia
一番苦しめられていた存在に自分がなってしまう…なんと皮肉なことでしょう。
結果として思う事
私としての心は失わないでいたい
私は自分が「カサンドラ症候群」ではないかと思うより前に、自分を守るために試行錯誤して夫と距離を置くことにしましたが、これは正しい選択だったと言えましょう。
夫と別室でポイ活やスポーツ観戦やスマホゲームに没頭することで、夫の思考をなんとか理解しなければと思い悩む時間を物理的に無くせるようになってきました。
これからはより悪びれずに自信を持って、「自分」の事だけを考えて行動する事にしようと強く思いました。
でも夫といる時の私は私がなりたい私ではありません。
夫といる時の私は大嫌いです。
私のモットーは、「他人の嫌がることをしない」を超えて「他人がして欲しいであろうを言われる前にする」なのです。
これは中学の時に聖書の”黄金律”である次の一文を知ったから。
だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。
マタイによる福音書7章12節
この気持ちだけは忘れずにいたいのです。
夫に先回りして尽くしてもいいように利用されるだけで私がただただ疲弊してしまうけれど、わかってくれる人にはモットーを貫きたいと思うのです。
そしてたまに「自分」がしたいと思った時にだけ、夫にもそうしてあげようと思います。
母はカサンドラ症候群だったのか
たびたび書いてきましたが、私の父は診断こそ受けていませんが確実にアスペルガー症候群(ASD)だと思います。
言われた言葉を額面通りに受け取る、時々書き言葉のような独特な言葉遣いをする、目で合図をしても伝わらない、他人の神経を逆なでるような事を平気で言う、会社では「変人」と言われ友達がいない、妙な収集癖がある、数字に強く勉強はすごくよくできる・・・などなど。
母はそのせいで父をよく「変人!」「きちがい!」などと罵倒していましたが、私は「発達障害」という言葉が出るようになってから一生懸命に調べて、父もそうなのではないかと母に教えました。
だから無理に治そうと思わない事、上手に付き合っていく事も合わせて伝えました。
でも障害に理解のない母はなんと余計に「きちがい!」「かたわ!」を連呼するようになってしまい、私は母に教えたことを後悔したものでした。
それからNHKの何かの番組で「カサンドラ症候群」の特集があったのだそうです。
母はそれを見て「私はカサンドラ症候群だ。パパのせいでうつ病になった」と事あるごとに言い張るようになりました。
そのころ既にうつ病を発症していた私は、うつ病とは私のような「大うつ病」の事を言うのだと思っていたので母みたいにヒステリックな人はうつ病ではないと思っていましたが、今考えると「非定型うつ病」だったのかもしれません。
それを考えると母はやはり「カサンドラ症候群」で精神を病んでしまっていたのでしょうか。
いずれにしても私を含め誰にも理解されなかった母はひどく孤独だったことには変わりなく、母亡き今となってはその苦労を労わってあげられなかったことが悔やまれてなりません
コメント
自分もまたアスペ傾向のある人と結婚したなんて、運命のいたずらと言うか不思議な結びつきだよね
でもどんぐりえさんは正しい知識を身に着けようと勉強するし、他人の意見も素直に聞き入れることが出来るからお母様より救いがあるように思えるね。
あとはこうやって自分の気持ちを発信してるのも良いことだと思う。
これまで理不尽な思いをたくさんしてきたのに、それでもまだ母親の気持ちに寄り添い後悔の念を持ち続けている…並の人間には出来ないと思う。
これからは自分ファーストで人生を楽しんでほしい
それくらいのご褒美安いものでしょ、神様!
りょっこどんちゃん、コメントありがとう(T^T)
結婚相手には自分の親に似た人を選ぶタイプと正反対の人を選ぶタイプといるって聞いたことがあるけど、私は前者だったのかな・・・まあ気性の激しい人は怖いから穏やかそうな人でいいと思ったんだけど、結婚してみないとわからない事って多いよねえ。
そうなの!こうやって書き出すと頭の中が整理されるし、書くために調べることでいろんな情報が得られるからすごくメンタル改善に役立ってる気がする!その分書いた後に罪悪感もうまれるんだけど、それは持たない持たないって言い聞かせて(*^^*)
りょっこどんちゃんみたいに、いつも見守ってくれるお友達もいるからホッとするよ。ありがとう~~~