私が関節リウマチと診断されるまで

 みなさんは関節リウマチという病気を知っていますか。

 お年寄りの病気?温泉に入ると治る?

 それはいわゆる通称「リウマチ」のことです。加齢により軟骨がすり減ることで起きる膝関節症、股関節症、指関節症、脊椎管狭窄症、腰椎症、坐骨神経痛、これみんな通称「リウマチ」で、温泉宿に長期滞在する”湯治”が効果あるとかないとか。

 でも「関節リウマチ」は通称「リウマチ」とは全く異なる病気。実はこの私も自分がなってみるまで、違いをよく分かっていませんでした。

 今回は、半年ほど前に関節リウマチを発症した私が、発症から関節リウマチと診断されるまでをお話しします。もしかしたら自分も関節リウマチなのではないか、とお悩みの方々の参考になれば幸いです。 

関節リウマチってどんな病気?

 関節リウマチは名前に「リウマチ」こそついていますが、実は自己免疫疾患「膠原病(こうげんびょう)」の1つです。

 そもそも「リウマチ」ってなんでしょうか。

 リウマチということばは、ギリシャ語の「流れ」という意味のことばに由来しています。むかしは、からだの中のわるい液体が関節のすきまなどに入って痛みを起こし病気になると考えられていました。最初にリウマチという名前がつけられた病気はリウマチ熱と考えられます。そして、その後、関節リウマチがリウマチ熱と非常に似ていることから、リウマチ様関節炎と呼ばれるようになりました。
 いっぽう、筋肉や骨・関節になど運動器と呼ばれる部分に痛みやはれなどの障害をもたらす病気は「リウマチ性疾患」という大きな範疇(はんちゅう)に含められます。

リウマチとは|家庭の医学ー時事メディカル

 昔から人類は、関節などがあちこち痛むことを「リウマチ」と呼んできたようですね。けれども関節リウマチは、その病態メカニズムが明らかになるにつれ、変形性関節症などとは全く異なる病気だということがわかったのです。

 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)とは、免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気です。進行すると、関節の変形や機能障害を来たします。原因は未だ不明ですが、遺伝的要因や、喫煙、歯周病などの環境要因の関与が指摘されています。女性は男性のおよそ4倍多く、40~60歳代での発症が多いですが、最近ではさらに高齢で発症する方も増えています。

関節リウマチ(RA)|一般のみなさまー日本リウマチ学会

関節リウマチは、免疫が自分自身を攻撃してしまう恐ろしい病気。しかも症状は関節の痛みや腫れだけではなく、全身にわたります。

全身倦怠感微熱食欲低下などの全身症状や、皮膚(皮下結節など)、など、関節以外の症状が出ることもあります。眼や口腔内の乾燥を来たすシェーグレン症候群を合併することがあります。

関節リウマチ(RA)|一般のみなさまー日本リウマチ学会

さらに治療薬はこの10年で格段に進歩したとはいえ、まだまだ「不治の病」といってよいでしょう。

正直なところ、一度発症した方が「薬を使わず、完全に症状がない状態で過ごせるようになる」ことは難しいんです。現在の医療では、薬を使いながら日常生活を送れるようにする状態を目指すことが現実的とされています。

「正しく知って、正しく恐れる」。実は10代でも発症する「リウマチ」の誤解ー日本財団ジャーナル

まとめると関節リウマチはこのような病気です。

  • 免疫が自分自身の細胞を攻撃して関節が腫れたり痛んだりする自己免疫疾患です
  • 関節以外の全身症状が出ることもあります
  • 一生薬を使いながら日常生活を送ります

誤解や偏見の多い「リウマチ」という名称をできれば変えてほしいと、患者さんたちみんな切に願っています。

次々と体を襲う不調

 2022年の私は、ひどくストレスに晒されていました。2021年末に母が急逝し、メンタルが崩壊した私は夫を色々と困らせて夫との関係も悪化し、生きているだけでしんどい毎日でした。

そんな時、次々と不調が体を襲ってきたのです。

5月:左胸に強烈な痛みが走り、心臓クリニックを受診→異常なし
6月:左首と左手の痛みがひどく、頸椎クリニックを受診→頚椎椎間板ヘルニアと診断
6月:大量の目やにで目が見えず、眼科を受診→ドライアイと診断
7月:右手に潰瘍状の皮膚炎ができ、皮膚科を受診→とびひと診断
7月:両まぶたが赤く腫れ、口内炎、舌炎が複数できる。
7月:両足首くるぶしが腫れて痛むので、整形外科を受診→湿布をもらう
とびひ?
くるぶしの腫れ

 これらはそれぞれ、本当に別々の症状なのかもしれません。でも何かがおかしいと思った私はGoogleで症状をいろいろと検索し、初めて「膠原病」「関節リウマチ」という病気が候補にあがりました。

 そこですぐにリウマチ科がある大きな病院に行ったのですが、紹介状がなければ診ることはできないと門前払いを食らってしまい大ショック。その頃の私はGoogleのおかげで、関節リウマチは早期発見早期治療がなによりも大切だと知っていましたので、本当に焦りました。

かつて関節リウマチは症状がゆっくりと進行し、10年以上が経過してから関節破壊が生じると考えられていましたが、発症後早期から急速に関節破壊が起こることが分かってきました。
関節の腫れや痛みがひどくなくても、関節の内部では炎症が続き、関節破壊が進行していることもあります。

つまり、発症から1年以内に関節破壊が急速に進行するため、早期に発見して早期に治療することが重要となります。

受診前の準備 ~どこへ相談すれば良いの?~ーおしえてリウマチ

 気を取り直してさらに地元で2件クリニックを受診。

7月:内科クリニックを受診→膠原病じゃないと思う
7月:別の整形外科を受診→レントゲンと血液検査→CRPが高いので紹介状GET!

2件目の整形外科でようやく紹介状をいただいて、専門医のいるリウマチ科を受診する運びとなったのが8月のことでした。

 余談ですがストレスは、関節リウマチの発症要因の一つとされています。

関節リウマチとストレスについてはいくつか報告があります。過去の報告で中越地震や東日本大震災などの大きな震災を機に関節リウマチを発症したり、身近なところでは友人や家族、愛犬の死で関節が腫れてしまう患者さんもおります。関節リウマチはストレスの病気ではありませんが、遺伝的素因(HLA-DRB1)にストレス要素(喫煙、歯周病、過労、環境変化、出産、更年期)が重なると発症する事が分かってきております。

関節リウマチとストレスの関係|クリニックブログー西尾久リウマチ整形外科

関節リウマチの診断

 リウマチ科では、手足と肺のレントゲンと血液検査と尿検査を受けました。血液検査は試験管10本ぐらい血液を採取したと思います。

 レントゲンからは幸い関節の破壊はみられませんでしたが、血液検査と触診の結果、私の病気は「(血清反応陰性)関節リウマチ」と診断されました。診断に至るチェック項目は以下の通りで、RF(リウマチ因子)やリウマチ反応(抗CCP抗体)は陰性でしたが、その他のすべての項目があてはまったからと思われます。

  • RF(リウマチ因子)は陰性
  • リウマチ反応(抗CCP抗体)は陰性
  • CRP(炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するタンパク質)が高値
  • 血沈(赤血球が試薬内を沈んでいく速さ)が高値
  • MMP-3(滑膜細胞や軟骨細胞で産生分泌される蛋白分解酵素)が高値
  • 腫れ・痛みのある関節が11カ所以上
  • 関節炎の持続期間が6週間以上

※RF(リウマチ因子)は関節リウマチの患者の約80%に検出されるが健常者でも5-15%が陽性

※抗CCP抗体は関節リウマチ患者の約60-70%で陽性

 その頃には足がパンパンに腫れあがってしまい、靴も履けずまともに歩けなくなっていました。また手指はほどんどすべての第2第3関節が痛み、指輪は全く入らなくなりました。俗にいう「朝のこわばり」も始まっていました。握力がひどく低下して、お皿やお茶碗やコップを何枚も何個も割ってしまって泣いてしまった日もありました。だんだん手足は黙っていても痛むようになり、なんと表現したらいいのか、巨大生物に噛み千切られているような痛みを常に感じるようになっていました。

 この時点では他の病気の可能性も捨てきれなかったけれど、治療法は関節リウマチの治療法と同じとのことでした。主治医が「様子を見ている暇はないので、すぐに治療を開始しましょう」と心強い言葉をくださった時、ようやくかとホッとしたのを覚えています。

足が浮腫んでパンパンに
第2第3関節の痛み

次回は治療についてお話しします

 結局、最初に次々と不調が続いたのは関節リウマチに関係あったのかなかったのか、今でもわかっていません。主治医は関係ないよと言いますが、Twitterで関節リウマチ患者さん同士つながって情報交換すると、目や皮膚に不調が出る方は多い印象です。いずれにせよ、次々と不調が出てくれたからこそ私が早く動けたことは間違いなくて、その点は体に感謝したいと思います。

 まだまだよくわかっていない病気で、最近使われるようになった治療薬はどれも高額なのですが、国内に約100万人とも言われるその患者数の多さゆえに、難病指定など国の支援が全くないのが現状です。

 次回は私が受けている関節リウマチの治療について、お話ししたいと思います。正直、こんなにお金がかかると思っていませんでした。

(つづく)

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