複雑性PTSDは根が深いようだ

3日前カウンセリングに行って、次に受ける心理療法について先生が教えてくださったときのこと。

先生から「パニック障害で電車に乗れなかった患者さんが、EMDRを1回受けただけで電車に乗れるようになった」と教えてもらって、私が「すごいですね!電車に乗れないなんて大変なトラウマだったでしょうに。私のトラウマなんて全然大したことないからすぐ効果出そうですね~」と笑ったら、先生が「いや、ぐりえさんの方がずっと大変ですよ」とおっしゃったのですごくビックリした。
先生曰く、単純性PTSDなら特定の記憶(例えば電車で倒れてしまった時のこと)にアプローチしてあげればそれで良くなる事も多いけれど、私のような複雑性PTSDは何十年にも渡るさまざまな記憶(覚えているもの覚えていないもの)が蓄積していて、さらにそこに自分が悪いなどという思考が絡んでなかなか大変なのだそうだ。

私ってそうなんだ。知らなかった。

そんな折 X(旧Twitter)を見ていたら、虐待サバイバーの複雑性PTSDを啓発しておられる羽馬千恵さんのツイートが流れてきて、今更ながらいちいち頷いてしまった。

うん、伝わらない人には伝わらないよね。

私は、自分が精神的虐待を受けていたと自覚したのはつい7年前のこと。それから2人の精神科医と2人の心理士にお世話になった。幸い、心理士の先生はお2人とも私の状態を本当によく理解してくださった。最初の心理士の先生は「よくここまで生き抜いてこられましたね」「もう十分すぎるほど頑張ってきたのだから離れてもいいんですよ」と気づきを与えてくださった命の恩人。今の心理士の先生は心理療法の知識も経験も豊富で、私をどうにか苦しみから救おうとしてくださる一筋の光。

その一方で精神科医の先生方は「辛かったね」という共感どころか、「変わったお母さんですね」「気にしない方がいいですよ」「認知療法してみたら」などと他人事のようにおっしゃるので、最初から理解してもらおうなんて思ってなかった。というか精神科医ってお薬を処方してくださるだけだと思っていたのだけど、そうじゃない医師もいるの?私が運悪いだけ?よくドラマに出てくる精神科医が患者の過去に深く立ち入ってトラウマの原因を探っていくシーンがあるけれど、あれって心理士の仕事だよね?知らんけど。

まあいい。自分の悩みや苦しみを否定されるとそれがまた自責につながるしトラウマの追加になってしまうので、わかってくれない人は精神科医だとしてもなるべく話さないのが吉。本当に理解してくださる、そしてPTSDへの解像度が高い心理士の先生にだけ話すようにしよう。

ところで前述の羽馬さんは、酷い身体的虐待を受けてきた”正真正銘”の『虐待サバイバー』だったようだ。たぶん壮絶な人生を送ってきて、今も想像を絶する苦しみがあるのだと思う。

ここでふと私が思ったのは、私の『精神的虐待』なんて『身体的虐待』を受けていた人たちに比べたら大したことないのでは?ということ。
私の子供時代の出来事を誰かに伝えたとて「そんな事ぐらいで虐待とかウケる」と笑われるのでは?
だから私が人の顔色ばかり窺ってビクビクするのも時々怖くなって泣きだしてしまうのも、「本人が悪い!」「大人は自己責任だ!」と言われるだろうし実際そうなんだから仕方ない。私がおかしいんだ。心理士の先生方が『精神的虐待』って大げさにレッテル貼りしてるだけなんだ。私は自分の変な性格を親のせいにしてる酷い人間なんだ。

・・・そんな事を考えると、心臓バクバクになって苦しくなって自分を罰したくなる。
そういう、自分を始末したくなる罪悪感も含めての『複雑性PTSD』なのかもしれないけど。

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