ワタクシそれはそれは酷い耳鳴リストであります。
小さいころから時々キーン音はしていたのですが、最近は頭の中で常にクマゼミがシャーと大合唱しているような感じ。流石に煩くて夜も眠れないほどでございます。
調べてみたら耳鳴りを感じている人の割合は人口の15%弱というデータがあって[1] 、無音の人もいる、というか無音の人の方が多いという事実に驚いてしまいました。
それでそう言えば昔NHKの『ガッテン!』で「耳鳴りによる不眠に悩まされてきた人が音を聞くことで熟睡できるようになった!」[2] ってやってたなあと思い出しまして、枕に置ける”寝るとき専用睡眠スピーカー”を買った訳です。
んで音って何を流せばいいのやら?
確か「ホワイトノイズ」って言ってたけども最近はいろんなノイズがあるようなので、まずは耳鳴りを理解するところから調べてみることにしました。
耳鳴りとは
耳鳴りとは、実際には音がしていないにも関わらず何かが聞こえるように感じる現象のこと。原因ははっきりとはわかっていないものの、内耳に異常がない場合は脳の誤動作という説も有力視されています[3] 。
- 加齢などで聴覚細胞がダメージを受けてある周波数帯の信号を出さなくなる
- 脳は信号が来ないためその周波数帯の感度を上げる
- それでも信号は来ないので一層感度を上げる
- 信号のハウリングのような現象が起きる=耳鳴り
AudioNotchというカナダの会社のサイトに、自分の耳鳴りの周波数を調べることができる面白い無料ツールを見つけました。
→TUNER
これで自分が聞こえてる音を再現してみたところ、私は7,000Hzののこぎり波が近いのかなと思いました。ちなみにAudioNotchが集めたデータによれば、最も多く確認された周波数は8,000Hz帯だったようです[4]。
TRT(療法)
現在のところ、耳鳴りをその発生から確実に消失(治癒)させる根本治療はみつかっていません。ただ耳鳴りがあっても、それを意識しなければよいのです。
そこで耳鳴りの治療法として急速に普及しているのが、1980年代後半にイギリスで始まったTRT(Tinnitus Retraining Therapy:耳鳴再訓練療法)です[5]。
一般的に静かな環境で耳鳴りは大きく感じられますよね。それは脳に伝わる音の情報量が少ないから耳鳴りが際立って聞こえているのです。逆にうるさい環境では音の情報量が多いので、耳鳴りはほとんど気にならなくなります。
TRTとは、耳鳴りが少し聞こえるぐらいのボリュームの音(ノイズ)をかけながすことによって脳を耳鳴りに慣らしていく治療法のこと[6]。
最初は短時間の使用から始め、最終的には1日6時間程度をめどに延長します。半年~1年半程度で耳鳴りが軽くなっていると感じ、最終的に耳鳴りが気にならなくなる人もいます[7]。効果が出る人の割合は8割前後だそうです[5]。
ノイズの種類
耳鳴りのTRT療法にはどんなノイズを選べばよいのか考える前に、まず色々なノイズについて調べてみましょう。
YouTube や Spotify で「睡眠」「よく眠れる」「ノイズ」などを検索すると、こんなタイトルの音源が出てきます。
- White Noise:ホワイトノイズ
- Pink Noise:ピンクノイズ
- Brown Noise:ブラウンノイズ
それぞれの音の違いを簡単に説明していきます。
ホワイトノイズ
ホワイトノイズはご存じの方も多いでしょう。人間の耳に聞こえるすべての周波数(音の高さ)を同じ強さでミックスして再生したノイズです。人間にとって不快な全ての音をかき消してくれるので、耳障りな音が気にならなくなります[8]。
可視領域の広い範囲をまんべんなく含んだ光が白色であることから、こう呼ばれます[9]。
音:「サー」「シャー」「シー」「ゴー」
例:飛行機の機内の音、テレビの砂嵐、無音のラジオ、換気扇
効果:集中力向上、リラックス効果、安眠効果
ピンクノイズ
ピンクノイズは音のエネルギーと周波数(音の高さ)が反比例するノイズのこと。この反比例は「1/fゆらぎ」と言って日常や自然界に存在するゆらぎです。人間の身体も「1/fゆらぎ」を有しているため、共鳴して精神が安定しリラックス効果があると考えられています[12]。
同じような周波数成分を持つ光がピンクに見えることから、こう呼ばれます[13]。
特徴:「ザー」
例:強い雨、滝、葉擦れ、穏やかな海の波
効果:精神安定、リラックス効果、睡眠導入時間の減少、深い眠り
ブラウンノイズ
ブラウンノイズは音のエネルギーと周波数(音の高さ)の2乗が反比例するノイズのこと。低い周波数(音の高さ)ほどより強いエネルギーを持つノイズです[9]。ホワイトノイズやピンクノイズに比べて心地よく柔らかい音質に聞こえます。
光の色ではなくて「ブラウン運動」によって生成されるノイズなので、こう呼ばれます[10]。
特徴:「ザー」「ゾー」
例:雷雨、荒波、ドラム乾燥機、雨の中高速道路を走る音、扇風機
効果:集中力向上、リラックス効果、睡眠の質向上
耳鳴りにはどのノイズがいいか?
それでは耳鳴りのTRT療法にはどのノイズを選べばよいのでしょうか?
結論から先にお伝えすると:
耳の特性も耳鳴りの周波数も人それぞれなので自分に合ったノイズを探そう!
耳鳴りにはストレスも大いに関係しています。音に対してマイナスのイメージを抱くと情緒をつかさどる大脳辺縁系を刺激→自律神経の活性化→耳鳴りに対する不快が一層高まるという悪循環が起きてしまうのです[5]。
間違った種類の音で定期的に眠ると、健康に悪影響を及ぼし耳鳴りや不眠症を悪化させる可能性があります[14]。聞いてみて少しでも不快だなと思うようであれば、その音源は辞めた方がいいでしょう。
そしてもう1つ大事なことはコレ↓↓↓
最初は小さい音で短時間から始める
耳鳴りを感じる人の中には、聴覚過敏で長時間の音に耐えられない人や、音を聞くことにより耳鳴りや聴覚過敏が憎悪してしまう人も多くいます。
ノイズが聞こえる程度の音から始め, ゆっくりと音を大きくし脱感作(知覚過敏を除去)をしていくことが必要です[5]。
参考のために3種類のノイズについて、周波数(音の高さ)ごとのパワー(音の強さ)の分布を示します。赤い線で示すあたりが、聞こえる耳鳴りで最も多いと言われる周波数(8,000Hz)です。
私の耳鳴りも7000Hzなので、こうしてみるとピンクノイズが良さそうだなと思ってしまうのは個人の感想ですかね(笑)
出典
- ”耳鳴りの世界的な推定有病率は14.4%|JAMA|海外論文ピックアップ|特設サイト|医師TOP|日経メディカル“. 日経メディカル, 2022年8月29日
- “「朗報!耳鳴りが劇的改善 自宅でできる新発想治療」|ガッテン!|NHK“. NHK, 2020年4月1日
- “耳鳴り|Wikipedia“. Wikipedia, 2024年8月8日閲覧
- “最も一般的な「耳鳴り」の周波数は何か?|GIGAZINE“. GIGAZINE, 2023年4月15日
- “耳鳴に対する新しい治療法・TRT(療法)|総説|耳鼻臨床”. 耳鼻臨床 第95巻6号; p639~646, 2002年6月1日発行
- “耳鳴り治療TRT|青梅駅前耳鼻咽喉科“. 青梅駅前耳鼻咽喉科, 2024年8月8日閲覧
- “耳鳴TRT療法|はなまるクリニック“. はなまるクリニック, 2024年8月8日閲覧
- ”ひそかに話題!ホワイトノイズとはどんな音?|Always Listening|audio-technica“. audio-technica, 2022年6月9日
- “ホワイトノイズ|Wikipedia“. Wikipedia, 2024年8月8日閲覧
- ”ピンクノイズとはどんな音?ホワイトノイズとの違いとリラックス効果|Always Listening|audio-technica“. audio-technica, 2022年6月18日
- “ピンクノイズ|Wikipedia“. Wikipedia, 2024年8月8日閲覧
- “「ブラウンノイズ」を睡眠導入に使う人が増えている理由|SPORTS|GQ JAPAN“. GQ JAPAN, 2023年12月28日
- “ブラウニアンノイズ|Wikipedia“. Wikipedia, 2024年8月8日閲覧
- “ノイズの種類の違い|eMasterd Blog“. eMasterd Blog, 2021年11月23日
- “カラードノイズ|Wikipedia“. Wikipedia, 2024年8月8日閲覧
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