私がモラハラ気質だったのかもしれない

エッセイ

私の血縁の女性は総じて自称”常識人”であり、世間体を何よりも気にして「~しなきゃだめ」「~しちゃだめ」と家族をコントロールしてきた。私はそれが家を守る専業主婦としての当然の仕事なのだと思って育ってきたのだが、どうやらこれは現代では”モラハラ妻”と呼ぶらしいと気づいたのは最近の事だ。

私としては、小さい頃から母や姉が大声を上げて家族を叱るのがすごくトラウマになっていて「他人に干渉しすぎる人って怖い」とビクビクしていたので、自分は絶対に同じ人種にはならないという自信があった。あったのだが、ふとこれまでの自分を振り返ると、もしかしたら私も大声を上げないだけで”モラハラ気質”だったのかもしれないと思う。

私は自他ともに認めるいわゆる”キチンとした人”なので、夫にもあれこれ指示する傾向があった。夫も若い頃は私に頼りきりなところがあったので基本的には私の言う事を聞いてくれていたのだが、年のせいかここのところ酷く頑固になってきて、私の指示にキレたり無視して逃げてしまったりするようになってしまった。これが私にはものすごいストレス。「どうして夫はこんなに自己中心的なのだろう」と悶々と悩み続けて、身体的にも精神的にも体調を崩してしまっていた。

でも。何年もたって気づいたのだが、よくよく考えたら夫が自己中心的なのではなくて私が自己中心的だったのではと思い当たった。”妻”の見本は母しかいなかったせいか、いつのまにか私も母のように他人に干渉しすぎる人になってしまっていたのだ。これは恐ろしいことだ。

パートナーを自己と同一視してはいけない。価値観は人それぞれ。助言を求められてもいないのに、他者を自分の理想の通りに導いたりコントロールしたりしてはいけない。自分がされて嫌だったことは、人にもしちゃだめ。ダメ絶対。

本当にこの1週間ぐらいなのだが、夫に何か言いたくなった時には一呼吸置いて『他人他人!他人に干渉しない』と心の中で唱えるようにした。すると、あら不思議な事に、夫の自己中心さもさほど気にならなくなってきたではないか。「そういう人なんだ、ふーん」ぐらいなもんである。そしたら夫もキレなくなって、私から逃げなくなった。なんなら夫の方から困って「これどうしたらいい?」と指示をあおいでくるようになったり。ああ、これでいいんだな。これが普通の夫婦なんだろうな。

また時間がたつと変わるかもしれないが、今のところいい方に自分が変わってきたのを感じている。理想通りにコントロールするのは、自分だけでいい。他人に関わらず、自分のことだけ考えて生きよう。そうしよう。

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