救急車は呼んじゃダメと頑張りすぎた話

健康

 X(Twitter)のフォロワーさんはご存じかもしれないが、昨日あやうく死にそうになった。

 昼ご飯に玉子サンドと赤ワインをグラス半分ほど飲んだ後、洗濯物を畳んでいた時のこと。息を吸うと喉の奥から気管支のあたりにこそばゆいような感覚があり、おかしいなと思って深く息を吸ったら咳き込んでしまった。夫が通りかかったので「喉がなんかおかしくて息がうまく吸えないの」と言ってみたが、ふざけてるのかと思われて笑われた。
 息を吸うたびに咳き込んでいたらだんだん息が苦しくなって、呼吸の仕方がわからなくなって立っていられなくなったので、椅子に座って洗面台につっぷして。その頃から夫が「だ、だいじょうぶ?」と背中をさすっていたような気がする。

 それからろくに喋ることはできなかったが、私の頭の中は冷静だった。『過呼吸かな、過呼吸だったらゆっくり息を吐けば大丈夫だよね』それからフーッ、フーッと息を吐いていたのだが、どんどん頭の血の気が引いていき、吐き気、体の震え、手足の脱力感。色々もう駄目だとそのまま床にドサっと落ちた時、夫が「救急車よぶ?救急車よぶ?」と騒いだのでそれを制す。「これぐらい・・・だめ・・・」そして頭の中で『これは貧血だ、それか酸欠だ』と判断して「さんそ・・・かん・・・もってきて・・・」と懇願。もう無意識に酸素がほしかった。

 実はうちの愛犬は僧帽弁閉鎖不全症であり、今はまだ必要ないのだが後々のために酸素缶を買って常備してあったのだ。夫はもちろんそれを知る由もなく「酸素缶?どこにあるの?」とオロオロ。「そこの・・・とびら・・・ルーター・・・よこ・・・」と指示すると、これは一発で持ってきてくれた。でも夫氏「持ってきたよ!どうすればいい?」とオロオロ。『しらんがな!』と叫びたかったが叫べないので「かんの・・・うら・・・よんで・・・」と指示するワタクシ。そしてどうにか酸素を口にシューしてもらったら、なんということでしょう。本当にビックリするほど楽になった。酸素缶ありがとう!

 ようやく喋れるようになったワタクシは、床に倒れたまま「ちょっと酸素飽和度はかるやつ持ってきて」と夫に頼む。これはコロナ渦に備えておいた方がよいと聞いて買ったもので、関節リウマチになってからは間質性肺炎が心配なので普通に使っていた。「どこにあるの?」という夫に『なんで何にも知らんのや!』と思いつつ「リビングの扉の中の引き出しの二段目」となるべく具体的に指示したつもりだった。が、持ってきたのは体温計。『おうおう、ありがとう。こうやってね・・・指に挟んでね・・・ってちゃうわボケ!』とツッコむ余裕はないので淡々と「これじゃなくて引き出しの二段目の手前にある指にはさむやつ」と追加指示でやっとオキシメーターを持ってきてもらった。 

 その時(つまり、かなり復活してから)測った酸素飽和度(SpO2)は84だった。数字が赤点滅しているのを見て『うーんもうだめしぬ』と思ったが、夫が「この数字なに?どういうこと?」と一生懸命に聞いてくるので「96以上が正常で90以下は危ないとかそんな感じ」と説明した。夫は初めてびっくりして「えー!救急車呼ぶ?呼ぶよ?」とまたもや連呼厨に。それを制して「いいから酸素ちょうだい」

 そんなこんなでSpO2を見ながら酸素吸入を繰り返した結果、1缶酸素を吸ったところでベッドに移動できた。夫はまだ「救急車!」と言っていたが、だったら自分で救急病院に行くから連れてって→ワイン飲んじゃったから運転できない→じゃあタクシーで行くよ→渋滞ひどくてタクシー入ってこれないから救急車!の堂々巡り。ただ幸い、話しながらも酸素を2缶吸ったところでやっとSpO2が落ち着いた。そこからあまり記憶がなくそのまま寝ていたようで、3時間後ぐらいに目が覚めた。喉はまだ痒かったが、横になったまま静かに呼吸をくりかえし、発症から6時間ぐらいで喉の違和感は治まったのである。

 さて、ここで問題です。死ぬかと思ったワタクシ。どうすればよかったでしょうか。躊躇いなく救急車を呼ぶ方もいるかもしれない。だが、私が生まれ育った実家の両親は人に頼るのが大嫌いだった。母などは死にそうなときも救急車を呼ばないどころか時間外に病院に行くのも我慢して、月曜日の朝になるのを待って父が近所の方に手伝ってもらって担いで自家用車で病院に行ったぐらいである(本当にそのまま死んでしまったが)。私もその血を引いているのか、はたまた「救急車をタクシー代わりに使わないで!」というテレビを見すぎたせいか、過呼吸ぐらいで救急車を呼んだら怒られると思ってしまった。
 ただ後からいろいろググったところ、過呼吸だったら酸素の吸いすぎ(二酸化炭素濃度の低下)で起こるので”一般的には”SpO2は100近くになるらしい。知らなかったわ。あと赤血球が少ない貧血持ちさんもSpO2は高めに出るらしい。知らなかったわ。あれ?もしかしたらこれって、喉がアレルギーで詰まる感じのアナフィラキシーショックとかだったんじゃない?だとするとかなり危なかったことになる。玉子アレルギー突然発症した?いやそういえば昼前に、トアラセットの便秘対策として処方された便秘薬アミティーザを初めて飲んだのだった。うーむ実に怪しい。
 素直に救急車を呼べばよかったのかもしれないが、少なくとも救急相談センター「#7119」にかけてもらえばよかったと今なら思う。7119こそ、こんな迷える善良な市民のためにあるのではないだろうか。次はちゃんと7119にかけよう。夫にもそう伝えておいた。(次とは?)

 あと今回の一件で、いざというとき夫はオロオロするばかりで全くもって頼れないということがよくわかった。でも同時に、ちゃんと指示さえすれば助けてくれるということもよくわかった。一人だったら今頃どうなっていたかわからない。命の恩人である。そしていつ死んでもいいやと思っていた私のはずなのに、本当に苦しい時は生きようと藻掻くこともわかってしまった。だって本当に苦しかったんだもの。苦しいのと痛いのはごめんである。逝くときはコロっと逝きたい。

 という訳でめちゃめちゃしんどかったし、愛犬にはこんな辛い思いをさせたくないので、酸素缶を多めにポチっておいた。

※ちなみにアミティーザの副作用には「気管過敏症」があったけど、アナフィラキシーショックに関する注意はありませんでした。1 気管が痒くなってパニックになって過呼吸こじらせただけかもしれないし、ワインにひどく酔って呼吸おかしくなっただけなのかもしれないし、本当に何かのアレルギーかもしれないし、今となっては原因がわかりません。とりあえずアミティーザはもう飲まずに次回の診察の時に先生に聞いてみます。


  1. アミティーザカプセル24μgの基本情報処方薬事典日経メディカル)最終閲覧日 2024.10.14 ↩︎

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