父にありがとうを

　前回の記事に「後悔だけはしてほしくない」というコメントをいただいて考えてみた。今私がこのままだと後悔するだろうと思っているのは父のこと。
　以前も書いたように母は父に対して長年モラルハラスメントの状態。当然「子供を洗脳」してくるので、私たち姉妹も父の人格を否定するように強いられてきた。小学生の時、理不尽に一方的に母になじられる父を見て思わず「パパがかわいそう。」と日記に書いたら、なぜか母にそれを読まれてしまい、翌日から１ヶ月ほどネグレクトされたことを覚えている。号泣しながら「パパはキチガイ。ママが大好き。」と連呼するまで許してもらえなかった。それ以来怖くて父をかばうことができなくなってしまった。
　私は父に感謝の気持ちを伝えたことがない。何かをしてもらっても当然という態度をとらなければ母の機嫌を損ねるから。本当は父を愛していること、尊敬していることを伝えたいのだが、未だにどうしてもできない。母に隠れてそれを伝えることすら憚られる。
　今はまだ健康な父ではあるがかなりの高齢、あと何年生きられるかわからない。父が生きている間に父にありがとうを伝えたい。父のようなエンジニアになりたかった、なれなくてごめんなさいと言いたい。母に確実に内緒で伝える方法があればそうしたいが、方法が見つからない。今から想像してしまう。私はたとえ父の死の今際でも、母の前では絶対に「ありがとう」という言葉を口にできないのだと。