私がおかしく私が悪いらしい

エッセイ

 夕食時の会話。テレビででマイコプラズマ肺炎の薬が不足しているというニュースをやっていた時のこと。

私「そういえばこの前【かかりつけ内科】で『今って薬すごく不足してるんですよね。』って言ったら『そんなことありません。知りません。』って怒られたんだよねー(笑)」

夫「ほう。」

私「あの先生、私が何か質問しても頭ごなしに否定するし。【夫】にはそんな風に当たらないんでしょ?私にだけ冷たいの(笑)」

 夫は以前、かかりつけ医にぞんざいに扱われたことが一度もないと言っていた。この時は、「ぶつかりおじさん」みたいな女性にだけ冷たい男性のことを思い浮かべていた私。「そうなの?ひどいね」でこの話は終わったはず。でも夫はそれすらも頑なに否定する。

夫「そんなことないでしょ。たまたまでしょ。」

 その後もいろいろと事例を説明してみたが、「そんなことない」ばかりでどうしても共感が得られない私はつい日頃の愚痴をこぼしてしまう。

私「いやーいつもだよ。先生に限らずいろんな人に無視されたり抜かされたり否定されたりばっかりだと、さすがに私もしんどいわ。自己肯定感下がりまくり。」

 すると夫が急に真顔になる。

夫「別に無視しようと思って無視してる訳じゃない。」

 急に主語が自分になる夫。自己中心性1のせいで物事を俯瞰して考える事ができないので、自分が否定されたと思い込んで怒り出したようだ。いつものパターンである。

夫「そういう風に考えるのをやめればいいんじゃないの。」

私「私が悪いのか。」

夫「悪いとかじゃなくて、そういう風に考えるのをやめれば?『今は忙しくて聞こえてなかったのかもしれない』って思えばいいんじゃないの?」

私「そう思ったとして、じゃあどうすればいいの?」

夫「無視されたと思わなければいい。」

私「いや、無視されたと思わないとして、その後の行動はどうすればいいの?勘違いかなと思って同じこと聞いて、逆切れされたこと何度もあるから怖いんだけど。黙って我慢してればいいの?」

 ここで夫は無言になり、夕食を食べ終わると「仕事する」と言いながら部屋を出ていきましたとさ。

 男の人あるあるなのか夫が子供すぎて自己中心性が強いせいかは知らないが、ちょっと相手の立場に立って共感を示せば済む話なのにね。「そうなんだ」「大変だね」「(自分)はちゃんと認めてるよ」と言えば済む話なのに。そう言ってもらおうと、実際は「うん」と言えば済むところまであれこれ話を持っていってたのに、頑なに「うん」と言わない夫。「そんなことない」しか言わない。それこそが全否定なんだよ。

 人を狂わせるのは簡単だ。全員でその人の言う事を信じず全否定し続ければ簡単に狂う。一人でもいいから私のことをわかってくれる人が欲しい。


  1. 自分と他人を明確に区別できず、他者の視点を理解できないこと。egocentrism。スイスの心理学者 J・ピアジェが名付けた言葉で、幼児の精神構造の特徴を表わす。「わがまま」「自己中心的」(selfishness)と違って「自己中心性」にはネガティブなニュアンスはない。https://sweetcocoro.com/自己中心性と自己中心的は全然違うらしい/ ↩︎

コメント

テキストのコピーはできません。