今一度「ノブレス・オブリージュ」を考える

「ノブレス・オブリージュ」ー 高い地位には義務が伴う。
「富裕層、有名人、権力者、高学歴者は社会の模範となるように振る舞うべきだ」という、社会的責任に関するフランスの政治家ガストン・ド・レヴィの言葉1

私は決して自分が高い地位にいるとは思わないが、実は自分が高IQだったということを知った今、改めてこの言葉に強く共感するようになった。
そうでなくとも私はずっと、自分のためではなく社会に役に立つ人間になりたかった。
自分が集めた知識や財産をできるだけ社会に還元することこそが、一人の人間が人類という集団の中に生まれてきた意味だと思っている。

けれど近年、自分の富や権力を大きくすることだけが目的になっている権力者のニュースが多すぎて不快で仕方がない。
中でも”保守系”と言われる政治家にそのような人物が増えていることが悔しい。

本来の”保守”とは、これまで人類が培ってきた経験と教えを、学び、守り、自らが経験していく中で知見をアップデートしながら、他の人々や後世にそれを惜しみなく伝えていくことだと思っていた。
それこそが「ノブレス・オブリージュ」のはずなのに。

そんな憤りが蓄積してきたので、ここ数年で目に余る”富や権力に固執する政治家たち”の発言を(後世のために)メモしておこうと思った。
※こういうことをSNSで言うとすぐ「ド左翼!」とか「パヨク!」とか罵声を浴びせられるが、ちなみに私は自民党員である。

兵庫県知事・斎藤元彦

自らのパワハラや背任疑惑に関する第3号外部通報の通報者を、第三者による調査もせずに自らの手で懲戒処分としたことが『公益通報者保護法違反』とみられている斎藤元彦氏2
当時の定例記者会見でキレ気味にまくしたてたのは、次の言葉だった。

業務時間中なのに嘘八百含めて文書作って流すって行為は、公務員としては失格ですんで。

こうした”公開パワハラ”と、部下らにやんわり脅迫めいたことを指示して部下らがそれを実行した結果、通報者が抗議の自殺をしたとされる。

2年経った現在もなお毎週の定例記者会見でこの件を追及されているが、全く真摯に向き合おうとしない態度である3

ちょっとおっしゃってることがよく分からない.。
いずれにしましても県(私)の対応としては適切だった。
(ご指摘は)ご質問いただいた方のご意見として承ります。

斎藤氏といえば、パワハラで明石市長を辞任したあの泉房穂氏をもってしてこう言わしめた人物4

どうして知事に立候補するのかと聞いた時に、政策面や何をしたいということはなかった方だった。
知事になりたいという強い気持ちは伝わった。
知事になりたい方という印象は持っている。
ポストに対する強い意志を感じた。

週刊文春の記事5でも、『なんで立候補するの?』『知事になってどうするの?』と聞いた知人の問いかけに『県民のため』と答えるのかと思いきや

いや、知事になりたいんです。

の一点張りだったと伝えられている。
つまり”知事になる”、”知事であり続ける”ことが、この方の目的なのだ。

先ほどの泉房穂氏など、つい正論を諭したらあっさり着信拒否されたそうだから笑ってしまう。

ポストばかりに強い関心があって、正直驚いた。
知事になってから彼が県内の市長や町長と会おうとしていなかったので『知事なんだから、ちゃんと市長町長とも連携取らなあかんよ』という話をしたら、それ以降、着信拒否されてしまった。

兵庫県知事はそんなに魅力的なのか?儲かるのか?
兵庫県知事としての報酬は年間約1640万円(月収は30%カットして93.8万円6、ボーナス約257万円7)。
2024年は後援会に個人寄付が6166万円あったという8

まあドアは全て職員が開ける、かばんはいつも職員が持つ、推し活にいそしむ”斎藤マダム”たちに黄色い声で囲まれて、学生時代からの夢であった”兵庫県知事”という権力の座を下りることはできないのだろう。
最近はYouTubeまで始めて、公務そっちのけで自撮りに勤しんでいるらしい9
兵庫県の財政は破綻寸前だと聞く10

兵庫県知事の任期満了は2028年11月16日。
どうやら最後まで権力者生活を満喫しそうである。

「ノブレス・オブリージュ」はどこへ。

内閣総理大臣・高市早苗

高市早苗氏の政治人生は、1つの嘘から始まった。
今では経歴詐称との噂が絶えないが、”米連邦議会立法調査官”(実際は下院議員の事務所スタッフ)になるべく1987年に当の下院議員の事務所に送った履歴書のこと11

私の英語力って大したことなかったから、その頃付き合ってた男がすっごく英語ができる男だったんで、ずいぶん添削してもらった(笑)。
だいたい私、自分は日本の軍事問題の権威だって、ウソを書いたの。

その後も彼女の小さな嘘はしばしば散見されるが、2025年の自民党総裁選前の演説会では”迷惑系YouTuberへずまりゅう”の”作り話”を信じたのかこんな話までしている12

奈良のシカを足で蹴り上げる、とんでもない人がいる。
殴って怖がらせる人がいる。
外国から観光に来て、日本人が大切にしているものをわざと痛めつけようとする人がいるとすれば、何かが行き過ぎている。

そんな勇ましいことを言い続けた彼女は(数億円とも言われる大金を投入したスマホ農場のおかげ13で)、2025年10月についに念願かなって総理大臣になった。
総理大臣になりたかった理由については、あたかも議会制民主主義を否定しかねない”独裁”願望が見え隠れする発言がある14

法律案があって、委員長、よその党が持ってたら実現できない。
だから私は本当に本当に歯を食いしばって30年以上かけて、やっと内閣総理大臣になれた。

けれども、嘘をついて大金をはたいて手に入れた最高権力を使って彼女が優先的に取り組んだ法案といえば、国旗損壊罪、副首都法、皇室典範改正など・・・物価高対策を置き去りにして国民の生活に無関係な法案ばかり15
さらに存立危機事態の失言、無責任な積極財政、消費減税など、有識者の意見を無視した政策でむしろ円安とインフレを招き、庶民の負担増を強いる結果となってる16
中でも「OTC類似薬保険除外17」と「高額療養費負担引き上げ18」は、弱者切り捨てとの声が多い。

思えば政調会長時代、橋下徹氏に「最高指揮官なら戦闘員にどこをゴールにして戦わせるか」と問われ、高市氏はこんな発言をしていた19

国土、領土、領海、領空、そして国民を守り抜く。
国家の主権が失われてしまうわけだから、これは申し訳ないが、戦闘員には最後まで戦っていただくことになる。

権力者にはすり寄るが弱者には冷たい。
人を人とも思わないような発言に身震いを覚えるのは私だけだろうか。

今になって、故・安倍晋三氏が高市早苗氏を見限ったとされる理由がわかるような気がする20

(2021年の総裁選で奔走してくれた仲間をフォローしたり、関係をさらに深めようとはしなかった)もう、彼女は応援しない。

「ノブレス・オブリージュ」はどこへ。

高市早苗氏の2024年の収入は2億5537万円。
2024年の個人献金は1億4017万円。
企業・団体献金は7814万円である21

自民党総裁の任期満了は2027年9月。
どうやら最後まで最高権力者生活を満喫しそうである。

元福岡県議会議長・蔵内 勇夫

福岡県は正副議長ポストを巡る多額の金銭授受疑惑で大揺れ。
県議らの高額海外視察、県の「部課長会」による組織的パーティー券購入問題も批判を浴びている。
疑惑の中心人物は”福岡県議会のドン”こと蔵内勇夫氏。

蔵内氏が笑みを浮かべながら記者団に語ったのは、次のセリフ22

日本で一番悪い男が蔵内勇夫だと言われている。

私は複雑性PTSDならではの洞察力で人を見る目が割とある方だと思っていて、例えば前出の兵庫県知事と総理大臣は最初からもう「ヤバイ奴や」と思っていた。
ただこの蔵内氏は穏やかそうな優しそうな表情をされているので、ニュースで初めて見た時もそんなに悪い人には見えなかった。
なにか訳があったのでは?とさえ思った。
告発されていることが本当だとしたら「人は見かけによらない」という言葉を初めて体感したわけで、本当に驚くばかりである。

そんな蔵内氏だが、昨日突然「議会改革の最後の課題だった政治倫理条例の道筋がついたので」と議長および議員辞任を表明したとのこと。
関係者によれば、辞職理由としてこんなことも言っておられたようだ23

マスコミの批判を受け、議員活動ができない。

私も安倍晋三氏や岸田文雄氏を強く支持していた時には、マスコミというものはあまりにも左寄りで権力者の批判ばかりしていると苦々しく思っていたものだった。
けれども今でこそ思う。
権力者が暴走した時に、それを止めるのは本当は民衆であり野党なのだが、それすらも機能していない時に最後の砦として最も発言力があるのはマスコミだけなのだ。
なので権力者は常にマスコミの批判を受けながら、耳を傾け真摯に対応していかなければいけないのだ。
それこそが「ノブレス・オブリージュ」の意味する社会的義務なのではないだろうか。

だからこそ蔵内氏のこの発言はおかしい。

蔵内氏の2025年の報酬は、議員報酬や役員報酬の他に貸地料と謝金報酬あわせて約2558万円。
さらに蔵内氏らは、”他会派との調整のためのゴルフ代や高級料亭での会食費”などの名目のお金を、いわゆる「みかじめ料」として新しく議長・副議長になる人物からそれぞれ数百万~数千万円ずつ集めていたという。

氏は今後も第三者委員会には積極的に協力をしていくとのこと。
私人となっても、最後まで社会的責任を果たしていただきたいものだ。


  1. 「ノブレス・オブリージュ」Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/ノブレス・オブリージュ ↩︎
  2. 『兵庫県知事 自作メモで「嘘八百」批判か』テレ朝NEWS(2024/8/27)https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000368067.html ↩︎
  3. 『「公務員失格」会見から2年 「おっしゃってることがよく分からない」を会見で繰り返す斎藤知事 議会や職員、中央省庁や国会議員まで コミュニケーション不全に懸念の声 「風通しのよい兵庫県」は実現できるのか』カンテレNEWS(2026/4/2), https://www.ktv.jp/news/articles/?id=26112 ↩︎
  4. 『泉房穂さん、兵庫・斎藤元彦知事は「知事になりたい方」「何をしたいということはなかった方だった」明石市長時代振り返り印象語る』中日スポーツ(2024/9/11), https://www.chunichi.co.jp/article/956412 ↩︎
  5. 『《2カ月半で自殺者2人を生んだ“おねだり男”》兵庫県知事・斎藤元彦(46)はなぜ辞めないのか?』週刊文春(2024/7/24), https://bunshun.jp/denshiban/articles/b9177?page=1 ↩︎
  6. 『斎藤知事の給料カット案、自民が方針一転 県議会委は「継続審査」に』朝日新聞(2026/6/9), https://www.asahi.com/articles/ASV6912TWV69PIHB00DM.html ↩︎
  7. 『兵庫県、夏のボーナス支給 一般職員の平均は87万4590円 斎藤知事は256万5337円』神戸新聞(2026/6/24), https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202606/0020532096.shtml ↩︎
  8. 『斎藤知事後援会に個人寄付6166万円 24年選出の8都県知事で最高額 県外からの寄付も最多 収支報告書比較』神戸新聞(2026/8/4), https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202608/0020669343.shtml ↩︎
  9. 『斎藤元彦知事のSNS写真は「公私混同」「職権濫用」か、ジャーナリズム軽視とナルシストSNS戦略の実態』JBpress(2026/4/5), https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/94155 ↩︎
  10. 『斎藤知事「今の財政状況を受け止めて」兵庫県“財政破綻寸前”に転落おそれ かつて転落の泉佐野市「“市名の権利”売り出し・“ため池”売却→住宅地化」など住民への影響抑え5年で脱却 破綻の夕張は市民負担増も』カンテレNEWS(2026/7/27), https://www.ktv.jp/news/feature/260724-hyogozaisei/ ↩︎
  11. 『「軍事問題の権威だってウソ書いたの」高市首相 経歴への疑惑再燃するなか…34年前の“告白”が波紋』女性自身(2026/5/16), https://jisin.jp/domestic/2583260/ ↩︎
  12. 『外国人が奈良のシカ蹴る?発言の根拠問われ高市氏「自分なりに確認」』朝日新聞(2025/9/24), https://www.asahi.com/articles/AST9S428KT9SUTFK019M.html ↩︎
  13. 『高市首相「いいね少なくてショック」自民動画1.6億回再生で4.1万回 参政・神谷氏に』産経新聞(2026/7/7), https://www.sankei.com/article/20260707-KPJO2LXVWFHJLAOTDP5RKXKWFU/ ↩︎
  14. 『高市早苗総裁 演説 東京都(全文)』自民党(2026/1/27), https://www.jimin.jp/news/information/212323.html ↩︎
  15. 『岩屋毅前外相が高市政権への苦言連発 国旗損壊罪、副首都法、皇室典範改正、消費減税、対中外交…「右へならえの自民党では国を誤る」』TBS NEWS DIG(2026/7/29), https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2835147 ↩︎
  16. 『高市政権の愚策に〈#高額療養費の限度額引き上げ撤回して〉が急拡散!「8月負担増」で大炎上終わらず』日刊ゲンダイ(2026/7/28), https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/390949 ↩︎
  17. 『【OTC類似薬保険除外】配慮対象となる「長期処方」の患者はわずか5.2% 「配慮」ではなく「排除」ではないか』全国保険医団体連合会(2026/8/12), https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2026-08-12/ ↩︎
  18. 『【声明】何のためのパブコメか――高額療養費負担引き上げに抗議する』全国保険医団体連合会(2026/8/1), https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/20260801_01/ ↩︎
  19. 『高市早苗「よその国をアテにして国民は守れない」 「私たちは非核三原則を議論しなければならない」』東洋経済オンライン(2022/3/7), https://toyokeizai.net/articles/-/536764?display=b ↩︎
  20. 『高市早苗「変節の野望」《安倍晋三は生前「もう彼女は応援しない」》|総裁選ドキュメント』週間文春(2025/10/8), https://bunshun.jp/denshiban/articles/b12453 ↩︎
  21. 『24年収入、高市首相トップ2.5億円 個人献金急増1.4億円―党首比較』JIJI.COM(2025/12/5), https://www.jiji.com/jc/article?k=2025120500694#goog_rewarded ↩︎
  22. 『窮地に立つ「福岡県議会のドン」(上)◆金銭授受疑惑、高額海外視察…第三者委で調査へ【解説委員室から】』JIJI.COM(2026/8/17), https://www.jiji.com/jc/v8?id=20260817kaisetsuiin216 ↩︎
  23. 『福岡県議会の「ドン」蔵内勇夫議長、議員辞職へ』毎日新聞(2026/8/24), https://mainichi.jp/articles/20260824/k00/00m/010/010000c ↩︎ ↩︎

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