心の狭さ

続・どんぐりの背比べ

 今日は関東地方にも10年に一度と言われるほどの大雪が降った。我が家は、昔スキーに行きまくっていた頃の影響で冬はスタッドレスタイヤのSUVに乗っているので、こういう日は水を得た魚のように外を走り回りたくなる。
 近所にランチを食べに行こうと夫の運転で外に出た。かなり雪が積もっていたので、まさかノーマルタイヤの車が外を走っているとは思わなかった。ちょっと坂道に出たとき、坂道を上れない車を何台か見た。いやな予感がしたのだが、幹線道路に出たら渋滞にはまってしまった。うんともすんとも動かない。はるか先の方には、雪道にスリップして道をふさいでいる車が多数いるようである。
 私は無性に腹がたってきた。こんな日にノーマルタイヤで走るなんて常識外れである。こういう日のために高いお金を出してスタッドレスタイヤにしているのに、そんな我々まで巻き込まれるのは心外だ。斜めになって停まっている車をどうにかやり過ごす度に、そんな風に思いながらイライラした。
 互いに車を押し合っている運転手たち。頭には雪が積もっている。むなしく回転するタイヤを横目に見ながら、あれ、もしかして私って今ひどいこと考えてる?本当だったら「大丈夫ですか?」と声をかけながら、車を降りて困っている人を助けるべきなのではないだろうか。突然そういう考えが頭をもたげてきて、私は葛藤に苦しんだ。
 自業自得の人に手を差し伸べるべきか否か。自分たちはお金を払って用意周到にしてきたのだから、先に行く権利があると考えるのは間違いなのか。モンモンとしながらも結局のところ車を降りることはなく、そのまま渋滞にまきこまれながら5時間かかって家に帰った。雪道ドライブを楽しむ事もできず、自分の心の狭さを思い知っただけの一日だった。

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