大きな紙袋

続・どんぐりの背比べ

 部屋の片づけをしていたら、大きな紙袋が出てきた。何年も前に辞めた会社関係の書類だった。元気だった頃の自分を直視できなくて、見ないように部屋の片隅に押しやっていたものだった。おそるおそる中身を確かめてみると、給与明細、辞令、表彰状・・・昔は大切だったものなのだろう。なんだか他人のもののように感じた。
 自分の8割以上を占めていた仕事を退職によって取られた時、自分がなくなったような気がした。「自分は何もできない」と責めて、泣いてばかりいた。あの頃の私はもういないようだ。私は大きな紙袋を、そのまま丸ごと捨てた。

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