以前から書いているように、私は食にあまり興味がない。うつ病のせいかもしれないが、毎日の食事は死なないように仕方なく食べているのであって、決して楽しいわけではなくむしろ義務に近い。うつ病が寛解した今、お世話になっている夫のために頑張って夕食は作っているが、夫婦揃って食が細いので買ってくる食材は必要最低限のものに限っている。それでも食べ切れなくて捨ててしまう食材もあるぐらいで、なんとかムダをなくすために献立を考えながらうまく買い物をするのに必死である。
そんな背景をふまえて言わせてもらう。私は食べ物をもらうのが苦手である。そもそも物を贈り合うことに気を使うのが嫌なのだが、なにより食べ物をいただくということは計画外に増えた食べ物を調理したり食べたりしなくてはならない訳で、それがなんとも苦痛なのだ。前は実家に行くたびに母が食べ物をたくさん持たせようとしてくれたが、「本当に食べないし、捨てる事になるから」と断り続けていたら、最近はわかってくれるようになった。けれども母以外の人にはそんな失礼な事も言えず、「本当にお気持ちだけで」とやんわり断っても社交辞令だと思われてしまう。特にある年齢以上の方は、食べ物を贈ることこそが最も喜ばれる行為と思っている気がする。今の日本では食べ物に困ることもそうないというか、むしろ食べ過ぎると体を壊すし食べ切れない物を捨てるのは罪悪感でいっぱいになってしまう。わざわざ用意してくださっているのに本当に申し訳ないけれども、何もいらないし放っておいていただくのが一番嬉しいのだが、これって私だけなのだろうか。
そんな私も先日夫の実家に帰省した時に、近所の散歩友達にうっかり食べ物のお土産を買ってきてしまった。こちらに帰ってきてから冷静になってみたら、すごく迷惑な行為のような気がしてきた。以前から「気を使う付き合い方はやめようね」と約束していたのを思い出したのだ。これは渡すべきではない、一度はお土産を渡すのはやめようと決めた。けれども夫に「せっかく買ってきたんだから渡してきなさい」と言われ恥をしのんで渡してみたところ、普通に「ありがとう」と受け取ってくれてホッとした。それでもなんとなく後味が悪い。本当に喜んでくれたのだろうか。実は迷惑だったのではないだろうか。なんで買ってきちゃったんだろう。食べ物に関する私の考え方が少しおかしいことは自覚しているだけに、普通の人が食べ物をもらうのは嬉しいものなのかよくわからなくて悶々としている。
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