独り言

続々・どんぐりの背比べ

 うちの夫は稀にみる朝型人間なので夜がめっぽう弱く、会社から帰ってくるとテレビを見ながら黙々とご飯を食べてすぐに寝てしまう。そもそも家とは寝るためにあるものという考え方みたいで、”団らん”という時間を知らないようだ。逆に朝は私が起きられないので出かけ間際に「いってらっしゃい」を言うぐらいで、業務連絡もままならない。
 うつが酷くて1日中引きこもっていた頃は、平日の5日間は誰ともしゃべらないなんて事はザラだった。ネトゲに入り浸っていても当時はボイスチャットなんて使ってなかったから、文字入力のチャットはすれど声を出す事がなかった。たまに「私って声出るんだっけ?」と不安になって「あ」と言ってみると、意外と大きな声が出てビックリしてしまったりしたものだ。
 体調がよくなって犬を飼い外に出られるようになると、生活に少し変化が出てきた。話したい出来事もあったりするのだがなにしろ友達がいない。そこで帰宅した夫にあれこれ伝えようとするのだが、夫は聞いているのか聞いていないのか生返事があったりなかったり。これでは単なる独り言である。仕方がないので一応夫にも聞こえるように声に出しつつ、犬を相手に話をすることになる。犬であっても誰かが聞いていてくれるというのは、感情のやり場ができて精神的に落ち着くものだ。
 これに味を占めているうちに、犬の散歩中なんかでも「寒いねー」とか「自転車危ないよー」とか思ったことをすぐ口に出すようになってしまった。すれ違う人が聞いたら不審に思われているかもしれない。さらに最近では犬がいない時でさえ、「なにあれ変なのっ」などと思わず心の声が口に出てしまっている私がいるではないか。
 まずいなー。たまに街でブツブツ訳のわかんない事をつぶやいてるおばさんを見かけるが、私もそうなりつつあるのだろうか。というか、ああいうおばさんも元は話し相手がいなくて何かに語りかけているうちに、盛大に独り言を言うようになっただけなのかもしれない。どちらにせよ周りを気にしなくなったらおばさん化まっしぐら。気をつけよう。

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