またしても痛ましい事故が起こった。昨日、JR横浜線の踏切内にいた74歳の男性を助けようとして、40歳の会社員・村田奈津恵さんが電車にはねられ死亡したとのニュース。遮断機の前で停まった車の助手席にいた奈津恵さんは、男性が線路内にうずくまるのを見て「助けなきゃ!」とだけ言い残し、運転席にいた父親の制止を振り切って飛び出していったという。
娘がはねられるところも見たという父親の恵弘さんは、気丈にインタビューに答えていた。「娘は亡くなったけど、おじいさんが助かってよかったなと思うしかないですよね。」どんなにか無念だろうかと思ったが、何か事故があるとすぐに責任問題を追求して騒ぎ立てる人が多い中、いたって冷静に娘の思い出話を語っていた父親の姿には逆に涙をそそられた。この父親のもとで育ったから、心優しい女性だったのだろうなあと思った。
奈津恵さんは細かいところに気を使う女性だったそうだ。優しすぎるところがあったそうだ。「おじいさんが治ってもらって長生きしてもらえば。」と言いつつも、最後にはやはり「私より早く死んで欲しくなかった。」と涙ぐんでいた恵弘さん。それが親としての本音なのだと思う。
以前のブログで、同じような事故のことを書いたと思い検索してみたら、2012年11月にその記事はあった。やはり踏切内でうずくまっていたおじいさんを助けようとして、おじいさんと一緒に電車にはねられて亡くなった中村のり子さん。あの時も「いざという時にこそ動ける人間になりたい」と書いた私であったが、果たしてこんな勇気ある行動がとれるだろうか。あれからちっとも成長していないし、全く自信がない。どうせ命を無駄に浪費するのなら世の中のためにでも使いたいとは思うのだが、いざとなると死ぬのが怖いとか思ってしまいそうなヘタレの私が恥ずかしい。
マスコミに提供された奈津恵さんの写真は、犬を抱いて優しく微笑んでいる写真だった。お人柄が偲ばれる。村田奈津恵さんのご冥福をお祈りします。
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「助けなきゃ」女性は踏切へ 父「やめろ」 JR横浜線(朝日新聞デジタル)
父の制止振り切り救助へ 横浜・電車事故で亡くなった村田さん(msn産経ニュース)
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