愚痴の愚痴

エッセイ

 どうしようもないけどなんとなくモヤモヤする話。
 私の母が高齢者の社会保障制度についてよく愚痴をこぼす。年金が下げられただの、医療費が上がっただの、介護保険が高いとかそんな話。愚痴をこぼし始めた頃は「大変だね」などと言いながらおとなしく話を聞いていたのだが、会うたび会うたび毎回しつこく文句を言うものだからだんだん面倒くさくなってきた。というのも、少子高齢化が進行しているこの日本で、今まで手厚すぎたとも言える高齢者に対する社会保障制度が苦しくなっていくのは当然といえば当然。私からすれば母の世代などは恵まれているほうで、私たちの世代以降は満足に年金をもらえるかどうかもわからない。将来を悲観してすっかり諦めムードの私に、比較的余裕のある暮らしをしている母からそんな愚痴を延々とこぼされても、むしろ「喧嘩売ってんの?」と思ってしまうこともある。
 母は今の自分のことにしか興味がないようだ。最近は私も5回に1回ぐらいは「年金もらえるだけいいんじゃない」などとやんわり返したりしているが「あなただって普通にもらえるでしょ」と聞く耳を持たない。テレビを見ても高齢者で「老人をいじめるな!」などと文句を言っている元気な人が多い気がするが、将来の子供や孫世代の財政破綻に関してはどう考えているのかな。
 もちろん今の高齢者をないがしろにしていいと言っているのではない。明日はわが身だし高齢者の社会保障はとても大事な問題。ただあまりにも母が「自分たちだけがひどい目にあってる」みたいに一方的に私にこぼすので、私も誰かに言いたくなったという話。まあ母も愚痴を言える相手がいないのだろう。また次に会ったときも私は黙って聞いてあげながら、静かに自分の未来を憂えることになるのだと思う。

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