急性副鼻腔炎:関節リウマチとの関係について

健康

 インフルエンザの偽陰性かと思っていた長引く風邪。芯熱はあるものの高熱は下がっているのにドロドロの鼻水と息苦しさとめまいと怠さで起き上がれない。そして6日目に黄緑色の鼻水、というか膿の塊のようなものが出てくるようになってふと気づいた。

これ風邪じゃないのでは!?

 すぐに自分の症状をググると一つの病名がヒットした。「急性副鼻腔炎」である。風邪の後に後遺症としてなる場合もあるようだが、よくよく考えると最初からこれだったような気もする。関節リウマチとも関係が深いようなので、メモしておく。

なぜ「急性副鼻腔炎」かと思ったかというと

  • 急に発症したし夫に全然うつらない ← これ!
  • 症状が「急性副鼻腔炎」に”全て”あてはまる
  • 特に黄緑色のドロドロ鼻水、においが全然わからない、左の小鼻の横の骨が痛い
  • リンヴォック服用者の「副鼻腔炎」発現頻度は10%以上である ← これー!

 耳鼻咽喉科に行こうかと思ったのだが、連日の雪予報。近所に耳鼻咽喉科がなく、かろうじて一番近い耳鼻咽喉科は口コミが最悪(「太っている人を嫌ってる」「高圧的」「言葉選びが悪い」)で怖すぎて泣きそう。

 なのでハナノアで鼻うがいなどしながら様子を見ていたところ、発症7日目の今日は鼻汁が透明になってきた🙌
 一般的な急性副鼻腔炎は10日以内に治るそうなので、このまま経過観察を続けようと思う。

急性副鼻腔炎(急性鼻副鼻腔炎)について

 日本鼻科学会による「鼻副鼻腔炎診療の手引き」1と「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)」2 をササっと読んだので、内容を簡潔にまとめた。

副鼻腔における急性炎症の多くは急性鼻炎に引き続き生じ、そのほとんどが急性鼻炎を伴っているので、「急性副鼻腔炎」よりも「急性鼻副鼻腔炎」の用語が世界的に主流となっている。

定義

鼻副鼻腔炎は「鼻副鼻腔の炎症により、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽などの呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、嗅覚障害などを伴う疾患」と定義される

急性鼻副鼻腔炎は「急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患」と定義される

なお発症から12週以上経過したものを「慢性鼻副鼻腔炎」(いわゆる蓄膿症)と言う。

症状

 ウイルス感染が発端となることが多く、感冒(かぜ)あるいは急性鼻炎の経過中に上気道全般に生じる炎症の一環として発症する。

  • 鼻汁(透明 → 黄色・緑色に変化)
  • 鼻水が喉におりてくる
  • 鼻づまり
  • 嗅覚障害
  • 頭痛・頭重感・顔面痛・圧迫感
  • その他
    • 発熱(38℃台も、数日)
    • 倦怠感、集中力の低下
    • 眼の周りの浮腫み、赤み、頬やおでこが腫れる

 ウイルス感染は病初期において頭痛や筋痛などの全身症状を伴うことが多い。一般にこれらの症状は最初の48時間で軽快し呼吸器症状が優位となるが、ウイルス感染では膿性鼻漏は数日間現れない。

図1.感染相(infection phase)より見た急性鼻副鼻腔炎の病態(文献1より引用)

高熱と膿性鼻汁が同時に少なくとも3~4日連続する場合には、急性細菌性鼻副鼻腔炎を疑う。

原因

  • ウイルス性 ー 免疫が正常な人はほぼこれ、10日以内に治る
  • 細菌性 ー 5日以上経過してから再燃
  • 真菌性 ー 免疫が下がっている患者、少数

診察

  • 問診
  • 鼻鏡・鼻腔内視鏡検査
  • 画像検査(レントゲン・CT・MRI)
  • その他(細菌検査・病理組織検査と鼻汁塗抹検査・鼻腔通気度検査・嗅覚検査)

治療

図1.急性鼻副鼻腔炎診療アルゴリズム(文献1より引用)
  • 投薬
    • 気道粘液溶解薬(ムコダインなど)
    • 抗菌薬 ー 5日間経過観察して症状悪化の場合のみ
  • 鼻内処置・鼻洗浄
  • その他
    • 上顎洞穿刺・洗浄
    • ネブライザー療法(吸入器)

なので自宅でできることは例えば・・・

  • 鼻をかんでマメに膿を出す
  • 鼻うがい

治療しないとどうなる?

  • 重篤な合併症
    • 眼窩内合併症 (炎症性浮腫・眼窩蜂巣炎・眼窩骨膜下膿瘍・眼窩内膿瘍・海綿静脈洞血栓症)
    • 頭蓋内合併症(硬膜外膿瘍・硬膜下膿瘍・脳膿瘍・髄膜炎・脳炎・海綿静脈洞血栓症)
    • 骨性合併症(前頭洞骨膜下膿瘍)
  • 慢性副鼻腔炎へ移行 ー 手術が必要なことも

なので、5日経過して症状が悪化したり10日以上症状が続く場合は、迷わず医療機関へ。

副鼻腔炎と関節リウマチの関係

 副鼻腔炎と関節リウマチには、次のような関係がある。

関節リウマチ治療 → 副鼻腔炎

 免疫の低下は、副鼻腔炎の要因になりうる。関節リウマチのために免疫抑制治療をしている場合には、副作用としての副鼻腔炎に注意が必要である。

 主な生物学的製剤・JAK阻害薬について副作用「副鼻腔炎」の発現頻度は、以下のとおり。

種類薬剤副作用「副鼻腔炎」
発現頻度
生物学的製剤ヒュミラ3海外の臨床検査で症例あり
シンポニー41~5%未満
シムジア51~5%未満
ナノゾラ61~5%未満
アクテムラ71%以上
オレンシア80.1~1%未満
JAK阻害薬ゼルヤンツ91~5%未満
オルミエント101~10%未満
スマイラフ111~5%未満
リンヴォック1210%以上
ジセレカ

※リウマトレックス(メトトレキサート)など抗リウマチ薬においては、副作用に「副鼻腔炎」の記述はない。

慢性副鼻腔炎 → 関節リウマチ

 慢性副鼻腔炎は関節リウマチの増悪因子の1つとも言われている13

 慢性副鼻腔炎、細気道病変/気管支拡張症、歯周病、慢性の便秘などの粘膜病変を治療すると、関節炎が緩和することも多数例あるという。
 関節リウマチ患者は、慢性副鼻腔炎にならないよう、より一層の注意が必要である。

 ちなみにテレビによく出てる今井一彰先生がおっしゃる「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」のうち第2のステップは「鼻の奥に潜んでいる感染源を治療する」ですよ皆さん!
 鼻うがいして、鼻から馬油を入れよう(読めばわかる)まあ私は全然治らないけど。

まとめ

この記事のまとめ。

  • 鼻がつまったり黄緑色のドロドロの鼻水が出たりして、頬や目や頭が痛かったりする場合は「急性副鼻腔炎」の可能性大
  • 5日目以降にも熱が出たり、10日以上治らない場合は迷わず医療機関
  • 関節リウマチなどで免疫抑制治療中(特にリンヴォック)には副作用で副鼻腔炎になりやすい
  • 慢性副鼻腔炎は関節リウマチの憎悪要因になりえるので治療しよう

  1. 「鼻副鼻腔炎診療の手引き」日本鼻科学会会誌63巻1号(2024) p.1-85, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/63/1/63_1/_article/-char/ja/(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  2. 「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)」日本鼻科学会会誌53巻2号(2022) p.27-84, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/53/2/53_103/_article/-char/ja/(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  3. 「ヒュミラ」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068024.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  4. 「シンポニー」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00067997.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  5. 「シムジア」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00067749.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  6. 「ナノゾラ」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070975.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  7. 「アクテムラ」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061368.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  8. 「オレンシア」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058784.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  9. 「ゼルヤンツ」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061355.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  10. 「オルミエント」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071359.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  11. 「スマイラフ」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068023.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  12. 「リンヴォック」添付文書, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070631.pdf(閲覧日2025.3.4) ↩︎
  13. 「疾患別症状」聖隷横浜病院 膠原病・リウマチ内科, https://www.seirei.or.jp/yokohama/section/clinical-practice/rheumatism/rhe-symptom/(閲覧日2025.3.4) ↩︎

コメント

  1. あおい より:

    こんにちは〜
    ぐりえさん、お加減如何ですか?

    しかしびっくりしたのは、私も副鼻腔炎持ちなんですよ!どうも喘息気味の人はセットで出る確率が凄く多いらしいです。
    そもそも発端はコロナ禍の前、頭痛が酷くて救急で運ばれた(笑)
    救急病院(全くご縁のない病院)でCTを撮っても何も出なかったんですが、夫の同級生が呼吸器内科にいる病院に改めて行ったら、副鼻腔炎が少し見える(頭を撮った画像なのでCTを読む放射線科の先生が神!)ということで、即耳鼻科に゙回され(これが出来るのが総合病院のメリットですね)、「宜しくお願いします」と言ったら「その声、いつから?頭痛の原因はソレです」と一瞬でした(笑)

    鼻声になっている自覚はありませんでしたが、血液検査でも炎症反応が高く出ていました。
    その時、抗生物質で夢のように良くなったのに、やっぱり春頃になるとまた出るんですよね…
    私は鼻水とかは全くなくて、頭痛と匂いが分からないのが主症状です。

    ぐりえさんも大変でしたね。どうしても一度なると再発するので、一度鼻のCT撮っておいても良いかもです。
    チクナイン、私ずっと飲みましたけど効果なしでしたわ(笑)

    また長々と副鼻腔炎トークしてしまいました(⁠ ⁠;⁠∀⁠;⁠)
    寒暖差が激しいので、私も何にもやる気が起こりません!←いつもだよ
    どうぞお気をつけて。

    • どんぐりえ どんぐりえ より:

      あおいさんこんばんは!
      ええっ!あおいさん副鼻腔炎で救急に運ばれたんですか💦
      頭痛に出るとはまた厄介でしたね。まさか鼻からきてるなんて思いもしませんから見つけて下さった放射線科の先生はすばらしい👏
      それにしてもなんだか共通点が多くて「ふふっ」てなってしまいます~

      おかげさまで今日は最後の膿(?)が一気に出たみたいで今は鼻スースー快適になりました!
      結局耳鼻科に行ってないのですが、今日たまたまマンションのエレベーターで一緒になった方にいい耳鼻科さんを聞いたので、いつか行ってみたいと思います。

      不安定な春のお天気が続くので、お互いに自愛しましょう💖
      私ももちろんまだ冬眠中ゆえ・・・(笑)

テキストのコピーはできません。