年下の母

続々・どんぐりの背比べ

 母と話していたら、母が私の年齢のときにはもう母の両親も父の両親も他界していたことを知り、いろいろな意味で愕然とした。私の祖父母はみなたまたま長生きではなかったので仕方がないのだが、この年齢で上の世代が誰もいないとは今の私には考えられないことだ。母は祖母の介護をしながら祖母に向かって毎日のように「お願いだから早く死んで」などと言っていたので、本当に亡くなってしまった時には「祈りが通じるって恐ろしい」と思ったものだった。あの頃の母はとても強く怖い大人だと思っていたが、今の私より年下だということに何より驚いた。そう考えると、いつまでもあの頃の母の面影に怯える必要もないのだ。そして、年齢を重ねれば親子の力関係が逆転して母のように親に何でも言える人間になるのかと思っていたが、そうではないことにようやく気づいた。私と母は根本的に違うのだ。それは残念なことでもあるが、喜ばしいことでもある。無理に母を傷つけるようなことは言いたくないから。
 それにしても、改めて自分たちが年をとったことを実感する。両親も私も先はそれほど長くはないだろう。母が祖母に対する態度を後悔しているかどうかはわからないが、私は母に対する態度を後悔しないようにしたいと思った。母のためにも、母亡き後の自分のためにも。

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