夜中の大声

続・どんぐりの背比べ

 最近、お風呂に入っている時や、布団に入って寝ようとする時によく、マンションのどこかの家から金切り声が聞こえてくる。私はビクっと身を硬くする。夜中の金切り声というと、無意識に両親の壮絶な夫婦喧嘩を思い出してしまうからだ。そのうち私のところにも乗り込んでくるのではないか。冷静になって、ああコレは他人の家の音だと理解するのだが、どうにも安らげない。小さい頃からのすり込み記憶は恐ろしい。
 それにしてもあの金切り声はなんなんだろう。子供の騒ぎ声のようにも聞こえるし、なにかを叱りつけているような母親の声のようにも聞こえる。うちのマンションはわりと防音がしっかりしていて、他の物音はほとんど聞こえてこないのだが、その音だけはやけに大きく聞こえるのだ。私の耳がその手の音を敏感に拾うようにできているのかもしれない。いずれにしても夜中の大声はやめてもらいたいものだ。

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