利害関係のない人

テレビ

 ずいぶん前の話になるが、年末に見たテレビ番組『予約殺到!スゴ腕の専門外来SP!!3』に、原因不明の耳鳴りに悩んでいた女性が出ていた。東京厚生年金病院の石井正則先生によれば、耳鳴りの原因の多くはストレスなのだという。怒り、恐怖、不安を感じて脳の”不快ネットワーク”が興奮すると自律神経の中の交感神経も興奮し、脳が強いストレスを感じて過敏な状態になってしまうというメカニズムなのだそうだ。交感神経の異常興奮といえば、原因不明の頭痛やうつ状態なんかも似たようなメカニズムだと聞いたことがあるので、他人ごとではないなあと思った。その時の石井先生のアドバイスの1つに、「利害関係のない友人と食事でもしながら話を聞いてもらうのがいい」というものがあったのが妙に記憶に残っていた。
 よく女性は人と話すことによってストレスを解消できると聞くが、ただでさえ人付き合いが面倒くさいのにわざわざ人と話をするなんて、余計にストレスになってしまうではないかと思っていた。でもそれは後々が面倒な利害関係があるからなのであって、そういうしがらみのない人とだったらいいのかもしれないと納得した。(あえて”友人”ではなく”人”と書く。)確かに犬の散歩をしている時に知らない人に「かわいいですねー」などと声をかけてもらって立ち話を数分した後は、とても気分がいいことがある。ブログにコメントをいただいて二言三言会話をしていると、気持ちが落ち着くことがある。こういうのって、言い方は悪いがどうでもいい人だからストレスにならないのだろうと思う。それでいて人と会話をし触れ合うことで、1人じゃないというちょっとした安心感を感じられるのだ。
 こんな半ひきこもりの私にも、毎日犬の散歩をしているうちに犬友達みたいなものができてきたのだが、正直あまり深入りはしたくない。仲良くなりすぎるとそれこそ利害関係が出てきてしまいそうで、たまに会って犬の話や天気の話をするぐらいで十分だと思ってしまう。なので日々お散歩コースを変えてなるべく会わないようにしてしまったり、そんな事をしているのがバレたら感じの悪い人かもしれない。でもこの距離感が大切なのだと感じている。
 もしかしたら石井先生の言わんとすることが「友人に愚痴をこぼせ」と言うことだったら私の考えとは違う(そんなに親密にはなりたくない)が、利害関係のない人との触れ合いが意外と気持ちのいいものであるのは確かだと思う。

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