パワハラ・モラハラをする人は外面が良すぎることをもっと広めたい

エッセイ

 パワハラは怖い。モラハラも怖い。本当の怖さは被害者になったことのある人しかわからないのかもしれない。なぜならパワハラ・モラハラは密室1で行われるので、加害者が世間的には「すごくいい人」で通っているから。

 パワハラ・モラハラ加害者は、ターゲットを完全支配下に置くことによって自分の存在価値を高め、活動するエネルギーを得る人たちだ。ターゲット(複数人の場合もある)を決めたら、それをとことん支配するためにターゲットに圧力を加え続ける。その反面「いい人に見られたい」という欲は人一倍あるようで、ターゲット以外には必要以上に優しく品よくふるまうのもパワハラ・モラハラ加害者の特徴の1つ。私はパワハラもモラハラも身内や職場で経験しているから、よーくよーくわかる。

 だから被害者は、”ハラスメントを受けている”という苦しみだけでなく、”他の人に信じてもらえない”という二重の苦しみを受けることになる。これはカサンドラ症候群と同じ構図だ。誰からもわかってもらえない苦しみを我慢し続けた人は、思考力が低下し気力がなくなり、抑うつ状態になったりうつ病を発症したりして、最悪は自死を選ぶ場合も少なくない。

 いやね、某元県知事の選挙戦を応援するツイートを見てて。政策がいいからとか実績があるからとかで応援するのは別にいいと思う。ただ「きれいなお辞儀」とか「一人一人と目を見てしっかり握手してた」というだけで「こんな人がパワハラなんてするわけない」とか・・・もう絶句するしかなかった。そりゃ選挙だもの、お辞儀ぐらいするだろうよ。握手だってするだろうよ。優しい言葉なんかいくらだってかけるだろうよ。それがパワハラを否定する根拠には、絶対に絶対に絶対になり得ない。

 私なんて、パワハラ・モラハラ加害者(とされている人)が人に優しくふるまえばふるまうほど、震え上がるほどの恐怖を感じる。絶望を感じる。それを微塵も感じない人は、ハラスメントに一度も合ったことのない幸せな人なのか、それとも他人のハラスメントには興味がない人なのか。

 このことはもっと世間に知れ渡ってもいい。知れ渡らなければいけない。

パワハラ・モラハラをする人は外面がめちゃめちゃ良い

 言っとくけど、いつでもどこでも誰にでも怒る人はただの怒りっぽい変な人。そういう人の方が裏表がなくてまだマシである。パワハラ・モラハラ加害者が恐ろしいのはそうした「感情の波」どころではない、他人の目がないところでふとした出来事で豹変する「完全二面性」なのだ。


  1. 「屋外だったら”密室”じゃないじゃないですよね」とか言う人、まさかいないよね。最近、ビックリするほど行間読めない人が多いから、いちいち注釈つけとかないといけない。 ↩︎

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