ケンカに居合わせ

続々・どんぐりの背比べ

 先日夫と外食をしていたら、隣のテーブルの夫婦が大声でケンカを始めた。決してヤンキーとかそういう類の人達ではなく、ごく普通の30代ぐらいの夫婦だ。聞くつもりもないのだが聞こえてしまうので聞いていたら、ケンカの理由はどちらかの勘違いで注文を間違えたことのようだった。女性の方がすごい剣幕で怒っていて、言い方が悪いとか私のせいにしないでとかギャーギャー騒いでいて、男性がそれに真っ向勝負で言い返している感じだった。
 小さい頃から親の夫婦げんかに萎縮して育ってきた私は、「ケンカ」という状態が本当に恐怖だ。それがごく隣で行われていたので、無関係であるにも関わらず縮こまってしまった。そして聞けば聞くほどどうでもいい内容。どっちかが謝っちゃえばいいのに、どっちも謝らないなら私が謝ってあげようか?そんな事を考えながら悶々としていた。ふと夫を見ると、普段は他人に興味のない夫もさすがに気づいていたようでチラチラと隣を見ながら笑っていたので、その顔を見たら私もホッとした。
 私の知り合いの中にも、周囲の迷惑も考えずに自分が不愉快だからという理由でケンカを始める女性が2人ほどいる。1人は母親、もう1人は一時期親友だった友人。どちらも私が分析するには自己愛が非常に強い性格だ。それだけに、他人から馬鹿にされることがどうしても許せないらしい。周りに誰がいようがどういう状況だろうがお構いなく、言い方が気に入らないなどと顔を真っ赤にして大声を出す。一緒に居合わせた者は本当に迷惑で、狭い車の中などでこれをやられるととても居心地が悪い。下手に止めようとするととばっちりが来る。どうして他の人の事を考えないのかなあと不思議で仕方がない。私だったら、自分さえ我慢すればその場がうまく収まるならいくらでも我慢するけどな。些細なことで怒り出す人ってそんなに自分が大事なのかとも思うが、逆に心が弱いんだろうとも思う。パーソナリティ障害と言っちゃえばそれまでなのだけれども。
 そうこうしているうちに隣のテーブルのケンカは、男性がキレ出して攻守が変わった。いつもお前はそうなんだと叱られて、女性は小さくなっていた。ここでさらに言い返さないのが、私の知っている2人の女性とは違った。その態度が功を奏したのか、今度は突然2人でにこやかにパソコンの話など始めたではないか。全く後腐れなく別の話題をできるのがすごい。私だったらこんな派手なケンカをしたら1ヶ月ぐらい後を引きそうだ。普段からケンカがコミュニケーションという夫婦なのかもしれない。それにしても周囲はいい迷惑だよなあ。その空間でいつまでもドキドキしていたのは私だけだったようだ。

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