クラクション

続々・どんぐりの背比べ

 私は車のクラクションが本当に嫌い。クラクションは危険を回避するために鳴らされることなどほとんどなくて、たいていが自分のジャマをされた(と思い込んでいる)ことに対する抗議の意味で鳴らしてくる人ばかり。こちらは至って安全運転をしているのに、自分勝手な理由で鳴らされると本当に気分が悪い。家の前も車通りが激しい道なので、プープーうるさくて仕方がない。実際にクラクションが原因のケンカなんかもよく聞くし。クラクションは緊急の時だけ使えるようにするべき。ビルに備え付けの非常ベルみたいに、いざというときだけ叩き割って使うような形にすればいいのにって本気で思う。
 先日住宅街を犬と散歩していたら、すぐ後ろでけたたましくクラクションが鳴った。何事かと思い振り返ると、杖をついたおじいさんがノロノロと道路脇を歩いていて、それが車にとってはジャマだったらしい。なぜクラクションを鳴らす必要があるのか全くわからなかったが、車はおじいさんを大きく避けスピードを上げて走り去っていった。どんなヤンキーかと思って運転手を見たら、60歳ぐらいのおじさんだったので驚いた。自分だってあと何年かすればおじいさんになるのに、なんて自分勝手な人なんだろう。
 私はムカムカしながら、おじいさんに「ひどい人もいるもんですね」という意味の会釈をおくった。するとおじいさんは、「ワンちゃん、ワンちゃん」と言いながら手をひらひらさせてこちらへ近づいてくるではないか。とにかく「ワンちゃん、ワンちゃん」しか言わない。ちょっと挙動不審な人だった。うちの犬が怖がって吠えそうになったので、私は慌てて逃げた。なんとも”いい人”にはなりきれない私であった。

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