なくしたデジカメ

続・どんぐりの背比べ

 夕方のこと。犬の散歩に行く時いつもデジカメをかばんの外ポケットに入れて歩いているのだが、散歩から帰ってきてふとかばんを見ると、デジカメがなかった。どうしよう。どこかに落としてしまったのだろうか。
 外はもう真っ暗。散歩道は街灯がない所もあって、夜はとても怖い。でも落としたのだとしたら、早く探さないと誰かに取られてしまうかもしれない。私は犬を連れて再び外に出た。
 暗闇の中を目を凝らして歩いた。犬は少し不安がって時々止まりたそうにしていたが、それでも私について来てくれた。頭にLEDライトをつけて歩いているおじさんがいた。私は懐中電灯を持ってこなかったことを悔やんだ。時折犬に話しかけながらどうにか散歩道をひとまわりしたのだが、結局デジカメを見つける事はできなかった。
 落胆して最後の階段を上がっていた。ふと足元に黒い大きなシミのような部分があった。前かがみになってよくよく見ると、なんと私が落としたデジカメではないか。久しぶりに嬉しいという感情がこみあげてきた。不安だったしあきらめていただけに本当に嬉しかった。神様ありがとう。犬よありがとう。

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