昨日、「日本でもついにうつ病が血液検査で調べられる時代に」という記事を見た。元記事は4月10日付の日経産業新聞のようだ。
東京、青山にある川村総合診療院の川村則行院長はヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)と共同で血液検査でうつ病がわかるEAPバイオマーカーを開発した。精神疾患を発症すると免疫力が落ちる。これまでの研究でうつ病患者は血漿(けっしょう)中のエタノールアミンリン酸(EAP)濃度が低下していることがわかっている。
そこで河村氏は血液中の「エタノールアミンリン酸(EAP)」の数値を簡単に調べられるバイオマーカーの開発を依頼した。従来の方法ではコストが1例40万円程度かかるほか大量に測定するのは難しかったが、HMTは「クロマトグラフィー法」と呼ばれる解析方法や酵素を用いることで、1~2万円で測定が可能となり、測定にかかる日数も大幅に短縮された。
これは朗報だと思った。この記事を取り上げてコメントしている人の中には、「これで、うつ病と偽って不正に障害年金や生活保護を受給している人を見抜くことができる」などと意地悪い見方をしている人もいるが、私は本当にうつ病なのに「自分は甘えているだけではないか」と思い込み自分を責めてしまう人にとって朗報だと思った。
これまでうつ病は自己申告を頼りに精神科医が判断するしかなく、主観的にも客観的にもあいまいな病気だった。統計上のうつ病患者数が年々伸びているのは、製薬会社のうつ病啓発キャンペーンによって、これまで精神科の受診をためらっていた人たちが受診するようになったためという話も聞く。記事にもあったが、うつ病ではないのに抗うつ薬を投与されていつまでたっても効果が出ない人は、他の病気や症状である場合も少なくないだろう。その一方で、本当はうつ病であるにも関わらず責任感が強すぎる人が、いつまでも精神科を受診しないというケースもあるのも確か。
抗うつ薬は副作用も多く、依存性の高い薬だ。中には誰かれ構わずバンバン向精神薬を出す悪い医師もいるというが、血液検査でうつ病の数値的な指標が出れば投薬も慎重になるだろうし、投薬期間も短くなるような気がする。私自身に関して言えば、減薬や断薬をする時に自分でも自信が持てなくて未だにあのやり方が正しかったのかわからなかったが、回復期にもこういう検査で「良くなっているのでもう飲まなくてもいいですよ」と示してもらえれば自信が持てたのにと思う。もっと言えば今なお本当に薬を飲まなくていいのだろうかと自問自答中であり、この検査をしてもう大丈夫だというお墨付きをいただければもっと前向きに進めるのではないかと、相変わらずの他力本願的発想をしてしまう。
なお、記事によれば
HMTによるとうつ病を拾い上げる「感度」は80%以上、うつ病でない場合にうつ病と診断されない「特異度」は95%を超える。
とのことで、現時点ではうつ病なのにうつ病と診断されない人は20%、うつ病ではないのにうつ病と診断される人は5%であることがわかる。目安にはなるが、もう少し精度が上がらないとこれだけで判断するのも危険な数値かと。2019年をめどに保険収載(保険適用)を目指すそうだ。
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社員の「うつ」、血液で見抜く 早期発見へ (日本経済新聞)
日本でもついにうつ病が血液検査で調べられる時代に(カラパイア)
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