母娘クライシス

テレビ

 NHK特報首都圏の「母娘クライシス あなたの愛が重い」という特集を見た。

「あなたのためを思って・・・」という言葉で娘の人生に口を出し、無自覚のうちに娘を支配、コントロールしてしまう“毒母(どくはは)“。母の過干渉からその存在を重く感じ、それでも最後まで母を捨てられないと苦しむ“墓守娘“。こうした実の母と娘の問題は、心の病や家族断絶にまで深刻化するケースもあり、いま、小説や漫画、雑誌の特集などで次々と取り上げられています。

という番組紹介を見て「私のことか!」とそれはそれは楽しみにしていたが、やはり30分番組ということで駆け足で終わってしまった感じがした。密着していた2組の母娘たちは、テレビに出るだけのことはあって娘たちが比較的言いたいことを言えていたし、母親のほうも穏やかで物分かりのよさそうな方たちだと感じた。事情をよく知らない人が見たら「なぜこんな贅沢な事で悩むの?」と思うかもしれないのが少し残念。
 スタジオゲストの臨床心理士・信田さよ子さんによれば、母と娘の問題は団塊の世代の母親とアラフォー世代の女性親子のカップルで起きているのが代表だという。

 団塊の世代が何を望んで結婚したかというと、ニューファミリーといって父と母と子の愛情で結ばれた家族を作ったわけですよ。そのことが閉ざされる家族になり、そして専業主婦になるお母さんがとても多かったということでお母さんの恨みがそこに溜まり、そしてお父さんは仕事熱心で。その中で母と娘の関係が濃密になっていくことが背景にあると思います。
 (娘が母を拒絶できないのは)これは本当に大きな問題なんですけど、娘の側に母に対して批判することに対する罪悪感があるんですよね。とてもみなさんいい子だし素直だし、閉ざされた家族の中で子供はお母さんにとって最大のパートナーになっていく仕組みがあるんです。

まさに私は世代も一致、その典型例である。母の恨みをひしひしと全身に受けながら育った優等生。母に口答えすることもできないくせに、心の中ではそれを嫌だと思っている自分への罪悪感で死んでしまいたくなる。でもこんな風にNHKで特集を組まれるほどよくある話なわけで、ということは私だけが特別なわけでもなんでもなく、一人で悩む必要もないはずなのだ。
 ではどうすればいいのか。信田さん曰く、やはり一定の距離感が大切だという。

 距離を取ると言うと、別居しなきゃいけないとか会っちゃいけないとか誤解されるんですけど、一緒の屋根の下に住んでいても距離を取ることは可能だと思っています。1つは食事です。食事を一緒にする回数を減らす、たとえば週1にする。それから言葉遣い。とても丁寧な言葉を使う、他人行儀にする、挨拶をする。言葉遣いを通して距離が作られていきます。(母に文句を言われても)それでも頑張ってやりましょう。

もう一緒には住んでいないので食事がどうこうは当てはまらないが、丁寧に接することぐらいはできるかもしれない。母から突然敬語を使われたりすると震えがるほど怖いものだが、逆に私から他人行儀に接したら母はビックリするかな。言いたいことは言えないけれども、たまにはそういう態度で示してもいいような気がしてきた。何を言われるかわからないが、私が頑張らなければ変われないのだから。

 母親の方はもし娘がそういう態度を取るようになったら、距離を取ろうとしているんだと、そこはお母さんも努力していただきたい。
 (父親については)この問題はとても怖いことを提起していて、母と娘だけで家族は完結する、つまりお父さんいらないよって言っているようなことも考えられます。父親もここにいるんだ、お父さんにこういう意味があるんだってお父さんが示さなければならない。お母さんに対して行動をともにしたり、娘に対して1対1で会うように努力をしたり、そういうことでお父さんに家族にいてほしいと思われるようにするのが大事じゃないでしょうか。

だそうだ。よくNHKを見ている母や父はこの番組を見ていただろうか。たとえ見ていたとしても「うちはこれに当てはまらない」と他人事として見ていそうだけれども、何か思うところあってくれれば嬉しい。
 なお番組ホームページに「母と娘の関係 危険度チェックリスト」があったので転記させていただく。

【娘向け】
□悩み事は友達や夫(恋人)より母に相談する
□家事や育児をしながら「母のようには完璧に出来ない」と落ち込む
□受験や就職は母のすすめに従った
□母からよく父の愚痴を聞かされた
□「母のような人生を送りたくない」という反発心がある
□母から食べ物や衣類などが定期的に送られてくる
□旅行に行くなら母とがいい
□母の誘いは断れない(食事や買い物など)
□母には私しかいないと思うとかわいそうになる
□電話やメールが母からだと分かると気が滅入る

【母向け】
□娘のことは私がいちばんよく分かっている
□夫よりも息子よりも、私の事を分かってくれるのは、娘
□娘のために多くの犠牲を払ってきた
□娘には仕事を通して自己実現してほしい
□娘も子どもを産めば私の苦労が分かるはず
□私がいないと娘は駄目になる
□私だって娘の時代に生まれていれば・・・と思う
□娘にはなんでも話せる
□娘といる時が一番ほっとできる
□毎日のように娘に電話やメールをするのは母として当然のこと

当てはまる数が多いほど、母娘関係の危険度が高くなるそうだ。私は8項目が当てはまった。母も普段の言動から考えれば、多くの項目が当てはまりそう。ちなみに母向けのチェック「娘には仕事を通して自己実現してほしい」には「娘の自己実現のために自分はあらゆる犠牲をはらってきた、自己実現してくれないと困る」という母親自身の自己実現が組み込まれているそうだ。別の人格を持った人間なのだから、やっぱりそれは勘弁してほしいよね。

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