正義感

続・どんぐりの背比べ

 昨日の話になるが、かなり久しぶりに1人で電車に乗る用事があった。すぐ電車が到着しそうだったので駅のコンコースを早足で歩いていたら、すぐ前を歩いていた人が突然止まって引いていたカートを少しバックさせたので、運悪くカートの金属部分が私のすね(いわゆる弁慶の泣き所)に思い切り当たってしまった。あまりの痛さに悶絶してうずくまったが、その人は全く気づかず行ってしまった。まあ普通ならここで泣き寝入り。久しぶりに外に出たらこれだ。ついてないなと思って痛さに耐えていた。
 ところがその時、横を歩いていた男の人が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。「はい、ありがとうございます。」と私が答えたのを確認して、その人は前に行ってしまったカートを引いた人を追いかけて、一言注意してくれたようだった。「後ろの人に当たってますよ。周りを見ないで荷物を振り回したらいけませんよ。」などと言っているのが聞こえてきて、逆に私が恐縮してしまった。カートの人も「すみません。」とペコペコ謝ってくれて、私も「こちらこそすみません。」などと謝りつつ、男の人にも「ありがとうございます。」ともう一度お礼を述べた。
 それにしても正義感にあふれた男の人だった。その人は会釈をすると颯爽と去っていったが、世の中捨てたもんじゃないなと思った。自分のことですら文句など言えないのに、他の人のことなんて見て見ぬふりをしてしまいがち。助けてもらって救われた気がした。ただこんな世の中だけに、このいい人が今後変なトラブルにまき込まれないといいなと少しだけ心配になった。

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