なりたい職業

　第一生命保険が５日発表した保育園・幼稚園児と小学生を対象とした調査によると、「大人になったらなりたい職業」は、男子が３年連続で「サッカー選手」、女子は１６年連続で「食べ物屋さん」がそれぞれトップだったという。特に男子では２１年ぶりに「警察官・刑事」が２位となったそうで、いくつかのワイドショーでその事が話題になっていた。ある番組ではその流れで司会者がゲストに将来何になりたかったかを聞いていたが、みなポンポンと小さい頃の夢とその理由を語っていたのですごく不思議だった。
　小さい頃の私は「大人になったら何になりたい？」と聞かれれば、「お医者さん」と答えるようにしていた。別に治してもらって感動したとか、病気の人を治したいとか、そういう高尚な気持ちからではない。偏見のある母が怒らないような職業・・・頭が良くないとなれなくて社会的地位が高くて収入のよい職業を子供ながらに考えると、お医者さんが一番適していると思ったからである。案の定「お医者さん」と言ってみたら母はすごく喜んでくれて、周りの人にも言いふらしていたので間違いではなかったのだと思い、高校生で進路を決めるまでずっと「お医者さん」と言い続けていた。それほど、母の機嫌を損ねて怒られるのは怖かった。
　じゃあ本当は何になりたかったのだろうと思い返してみたのだが、それが悲しい事に全く何も思い浮かばない。自分の意思で考える事もやめていたのかと思うと、我ながらひどく可哀想な幼少時代だったと思う。前述の「大人になったらなりたい職業」ランキングを見ると、「お医者さん」は男子で９位、女子ではなんと４位に上昇しているというが、何割かは私のように親の顔色を伺ってそう答えている子供がいるのではないかと勘ぐってしまう。
　ちなみに夫に小さい頃何になりたかったかを聞いてみたら嬉しそうに「大工さん」と答えたので、すごく羨ましかった。私も今からでもいいから何かなりたいものを考えてみようかなと思ったが、ただもう「死にたい」という言葉が頭に浮かんだだけだった。

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警察官・刑事、女子にも人気…上昇の理由は？（gooニュース）
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