50代、やめてよかったこと

エッセイ

 先日、美容院に行ってきた。うちの美容院はタブレットで楽天マガジンを読ませてもらえるので、私は施術中だいたい50代女性のためのファッション誌『eclat(エクラ』を読んでいる。11月号は、特集記事「50代、私が”やめてよかったこと” ~明日の私を解放するもうひとつのアプローチ~」1 が面白かった。

 詳細はぜひ誌面を読んでいただきたいのだが、まず私

日ごろのモヤモヤやストレスを生んでいるのは、もしかしたら抱え込んだものや固まった価値観があなたを縛っているせいかも!?

という前置きに、大きく首がもげるほど深く頷いてしまった。本編は読者からの『人生が前向きになった50代のエピソード』が12個紹介されていて、ザっとまとめるとこんな感じ。

  1. 会社勤め
  2. 完璧な家事
  3. 友だちとのランチ会
  4. テレビのつけっぱなし
  5. 来客用の食器(→自分で使う)
  6. 実家通い
  7. 空き家の維持
  8. 社交辞令
  9. ジェルネイル(サロン)
  10. 衝動買い
  11. 水回りや窓の大掃除(→外注に頼む)
  12. 義母との付き合い(→介護専門職に頼む)

 それぞれに共通することを私なりにまとめると、次のような図式なのではないかと思う。

人に合わせるために我慢や無理をすることで憂鬱

 解放

余った時間やお金を本当に自分が必要なものに使う

 余裕

ネガティブ思考が消えて満足度が持続する

 実際、脳や心にいい影響があるのかという質問については、脳神経内科医の山下あきこ先生の解説が続いていた。先生によれば、心に負担がかかった状態は交感神経を刺激してストレスホルモンのコルチゾールを分泌し、これが長時間続くと自律神経のバランスが乱れて不調の原因になるのだという。コルチゾールの分泌を解消するには、我慢やモヤモヤを手放すのが一番という訳だ。なるほど。コルチゾール消えて欲しい。

 私はこの12のエピソードのうち、是非とも取り入れたいのは2の『完璧な家事』である。最近の私は「決まった時間に家事をしない」ことを心がけていて、これがうまくいっているように思う。昔は、自分で約束事を決めないと動けないから「午前中のうちに〇〇を掃除」「毎週〇曜日には〇〇を掃除」などと自分を奮い立たせながら頑張って家事をしていたが、もうヤメヤメ。汚れたところは自分が使う前に気づいたら掃除するようにして、お風呂とか水回りなんて夜中にやってる始末。母が聞いたらビックリするかもしれないが、でもそれが本当に気楽なのだ。

 『eclat(エクラ)』に戻ると、最後は禅僧の大愚和尚の「執着するのは”無知”だから。世の中の真理を知れば悩まない」というありがたいお言葉でしめくくられていた。

自分以外の何かに寄りかかる生き方は、本当の意味での自信が育たず、苦しみを生むだけ。依存していたものを手放すことができれば、自分の核が定まって自分の足で立てるようになる。それが真に自由になるということなのです。

 本当にそうだなあ。周囲の顔色を窺い周囲と共存、いや依存してきた私。30代でうつ病になって社会から切り離された時はどうしようもない孤独感に苛まれていたけれど、50代になってようやくたどり着いた真理。依存先の断捨離である。今からでも自由になりたい。それこそが人生の終焉にふさわしいのではないだろうか。


  1. 集英社『eclat(エクラ』11月号 p.127-131 ↩︎

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