迷惑な友達2

続・どんぐりの背比べ

 犬のお散歩途中に会う犬連れの人で、少し苦手な人がいる。初めは苦手ではなかったのだが、いつの頃からか彼女の話が長くなり、「今度うちに遊びに来てくださいね。」とか「私のFacebook見てくださいね。」などとしつこく言うようになり、苦手になった。人付き合いが苦手な私は、ご近所の人とは浅くお付き合いしたい。次第に彼女を避けるようになり、お散歩コースを変えた。
 ところが今日、新しいお散歩コースでばったり彼女と会った。すぐ別れるつもりだったのだが、だらだらと一緒に歩き続け、とうとう私の家の前までついてきた。そして彼女は言った。「ここがお家なんですね。今度お邪魔したいです。」私が適当に「はぁ、また今度。」などと返したら、「アポなしだと悪いから、連絡先がわかってればいいんですよね。携帯ありますか?」私は動揺して頭が真っ白になり、うまいウソがつけなかった。そして成り行き上、メールアドレスを交換することになってしまった。「うちは汚いから絶対ムリです。」とお断りしたのだが、「うちも汚いから大丈夫ですよ。」との笑顔。
 どうしよう。本当に困った。なぜ私なんかを誘うのだろう。ほっといてほしいのに。一人にしておいてほしいのに。なぜ私はそこまで彼女を避けるのだろうとも思う。私がいやらしい人間にも思えてくる。そしてはっきり断れない自分にもつくづく嫌気がさす。むしろ嫌われた方が楽なのに、誰にでもいい人ぶってしまう。こんなだから社会生活に疲れてしまったのだ。だからこそなおさら、なるべく他人とは付き合いたくないのだ。
 犬の散歩なんかしてるから、健康な人間に見えるのだろうか。本当はうつ病でひきこもりです。大声で叫びたくなった。だがそれもできない弱い私である。
 さっきお礼のメールが来た。返事は返していない。

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