2022年8月に関節リウマチと診断された私ですが、半年たった現在、残念ながらまだ「寛解(全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること)」には至っていません。
この半年間、私はどのような治療をしてきたのか、治療による副作用は何があるのか、医療費はどれぐらいかかるのか、その他患者の私たちができることをまとめてみました。
はじめに飲むのは「メトトレキサート」
現在、関節リウマチと診断されたとき初めに選択される薬は、「メトトレキサート」という免疫抑制薬です。メトトレキサートは抗がん剤として知られているお薬だそうですが、関節リウマチの治療には抗がん治療に使う量の100分の1程度の量を使います。このお薬が出るまでの関節リウマチの治療といえば痛み止めやステロイドで辛さを緩和するだけでしたが、メトトレキサートによってその治療は劇的に変わったそうです。昔の人はもっと辛かったんですね・・・
メトトレキサート(MTX)は、世界中で最も広く使用されている関節リウマチ(RA)の治療薬です。日本では1999年に承認され、RA治療薬として使用できるようになりました。高い有効性、継続率、骨破壊進行抑制効果や、生活の質(Quality of Life: QOL)、生命予後(寿命)の改善効果が示され、関節リウマチ治療の第一選択薬(診断されたらはじめに使用する薬)、アンカー薬剤(中心的役割を担う薬)となっています。
メトトレキサート(MTX)|一般のみなさまー日本リウマチ学会
私もまずはメトトレキサートを週に1日3錠(6mg)から飲み始め、それでも痛みが増すばかりだったので翌週から4錠(8mg)に増加しました。
最初は副作用がつらくて、薬を飲んだ翌々日ぐらいは吐き気と下痢でほとんど食べられず、怠さもかなり出ました。けれども飲み始めて3週間目ぐらいには手足のむくみがすっかり取れ、1か月後の通院日には「先生!痛みがだいぶ引きました!」と喜びの報告ができるようにまでなったのです。
ところがその日の血液検査の結果、肝臓のいろいろな数値がすごく高くて、薬剤性の肝機能障害が出ていることがわかりました。そこで先生の指示で週に1日2錠(4mg)に減薬したところ、また手足の痛みと腫れが再発。慌てて病院に駆け込んで、痛み止めのセレコックスをたくさん出してもらったりしました。相変わらずの怠さは肝機能のせいだったのかもしれません。
それから頑張って我慢してなんとか次の1か月が過ぎましたが、残念ながら翌月の血液検査の結果も肝臓の数値がまだ下がりきらず、メトトレキサートはさらに週に1日1錠(2mg)に減薬することになってしまいました。
効果が足りない場合は生物学的製剤という選択も
メトトレキサートだけで効果が十分でない場合や、私のようにメトトレキサートを十分に服用できない場合には、バイオテクノロジー(遺伝子組換え技術や細胞培養技術)を用いて作られた生物学的製剤を追加して使用するという選択肢があります。日本で最初に関節リウマチの生物学的製剤「レミケード」が承認されたのは、つい20年前の2003年のことだそうです。
特定の分子を標的とした生物学的製剤は、一般的に治療効果が高く、また併用するステロイド内服量を減らせることも多いです。ただ、必ずしも全員に効果があるわけではなく、また各生物学的製剤が有効かどうかを事前に推測することは難しいです。薬剤ごとに特徴があるため、血液検査結果、合併症の有無、点滴製剤か皮下注射製剤かなど、様々な点を考慮して患者さんにとって最適な薬剤を選択する必要があります。
生物学的製剤(bDMARDs, Biologics)|一般のみなさまー日本リウマチ学会
現在9種類の生物学的製剤がありますが、困ったことに自分にどの生物学的製剤が合うのかは誰にもわからず、まさにお薬ガチャなのです。しかもこのガチャ、めちゃめちゃ高額課金です。医療費3割負担でも、なんと1か月3万円ぐらいはします。
けれども前回お話ししましたが、関節リウマチは早期治療が鉄則!関節の破壊は早期に止めなければなりません。迷っている暇はないので私は先生と相談して、まず比較的新しい「ケブザラ」という生物学的製剤を2週間に1本ずつ使うことにしました。(定価48,000円/本)
生物学的製剤は点滴もありますが、今は自己注射が多いようです。初回は病院で看護師さんの指導のもと注射の打ち方を練習しましたが、2回目からは自宅で自分で打ちます。ケブザラはちょっと手刀みたいな形なので、切腹をする気分でひと思いにお腹にプスっと刺します。
しかしこのお薬、残念ながら私には合わなかったようで、途中で痛み止めのカロナールとトラマールまで追加投入して頑張りましたが、3か月で断念せざるを得ませんでした。
生物学的製剤の効果が不十分な場合は、別の生物学的製剤に変更することがあります。残念ながら、どの生物学的製剤がその患者さんに最も効果があるのかを事前に知ることはできません。通常は3カ月ほど使用しても効果が不十分であれば、別の生物学的製剤に切り替えます。また、開始してしばらくは効果があっても使用していくうちに効果が弱くなってしまう場合があります。
生物学的製剤|薬物療法ー日本リウマチ財団 リウマチ情報センター
次に先生と選択したのは、「シムジア」という生物学的製剤です。(定価59,300円/本)私の関節リウマチが血清反応陰性であることや、メトトレキサートを1錠しか飲めないことを考慮して、消去法で決めました。最初は2週間に2本ずつ打ちます。
ケブザラがキャップをひねって開けるのとは違って、シムジアのキャップはまっすぐに引かなければなりません。取扱説明書のその部分をよく読んでいなかった私は、うっかりキャップを捻ってしまい1本ダメにしてしまいました。59,300円(の3割)がー!とショックを受けましたが、幸い製薬会社さんが代替品をくださいました。本当にごめんなさい(泣)
現在このお薬を打ち始めて1か月半たちましたが、残念ながらまだ痛みは引いていません。先生曰く触診で関節の腫れが引いてきているとのことなので、効果を信じてもう少し頑張ってみようと思います。
副作用について
メトトレキサートも生物学的製剤も免疫を抑制する効果があるので、感染症の発症や重症化に注意が必要になります。風邪もコロナもインフルエンザもとても怖いです。そろそろマスクを外そうという話が出ていますが、我々関節リウマチ患者はマスクを外すわけにはいかないので是非ともご理解をいただきたいと思います。
その他、メトトレキサートには重篤なものから軽いものまでいろいろな副作用があります。
メトトレキサートの副作用
- 嘔気、嘔吐、下痢
- 感染症
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 白血球減少、貧血、血小板減少
- 間質性肺炎
- 口内炎、皮疹
- 脱毛 など
口内炎は一度に4つも5つもできたりするので、QOL(生活の質)がめっちゃ下がります。また、感染症でいうと手の傷が化膿しやすい問題があります。ちょっとでも傷ができてしまったら、すぐに化膿止めを塗らないといけない日々です。
高額療養費制度を使いましょう
法定給付
日本には、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担額が1か月単位で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する「高額療養費制度」があります。12か月間に既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当の場合)には、4回目以降の負担の上限額がさらに引き下がります。
負担の上限額は所得によって異なります。自己負担額は世帯で合算することができます。
所得区分 | ひと月あたりの 自己負担限度額(円) |
年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:年間所得901万円超 | 252,600+ (医療費-842,000)×1% <多数回該当:140,100> |
年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:所年間所得600万~901万円 | 167,400+ (医療費-558,000)×1% <多数回該当:93,000> |
年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:年間所得210万~600万円 | 80,100+ (医療費-267,000)×1% <多数回該当:44,400> |
~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:年間所得210万円以下 | 57,600 <多数回該当:44,400> |
住民税非課税者 | 35,400 <多数回該当:24,600> |
また、あらかじめ申請して入手した「認定証」などを提示すれば、窓口で自己負担限度額を超える分を支払う必要はなくなります。ぜひ調べて活用してみてください。
付加給付
企業などの健康保険組合だと、法定給付に加えてさらに自己負担の軽減をはかるため、付加給付も支給される場合があります。
- 世帯合算はできない場合が多い
- 医療機関を合算できない場合が多い(1人1か月1病院)
- 申請しなくても数か月後に自動で還付されることが多い
組合によって条件も金額も申請方法もまちまちなので、ぜひ調べてみてください。
スマホで調剤予約が便利です
関節リウマチの治療薬は珍しい薬が多いので、処方箋を持って調剤薬局に行っても在庫がない場合が多くて、お取り寄せして翌日にまた行かなければならなかったりします。
そんな場合は調剤予約がとても便利です!
私はEPARKお薬手帳を使っているので、その中で処方箋を写真に撮って送ることで調剤予約をしていますが、EPARK会員登録しなくても使える処方箋ネット受付サービスもあります。
在庫があるお薬でも、混雑した調剤薬局だとひどく時間がかかることがありますよね。そんな時は病院で処方箋をもらったらすぐに調剤予約をして、薬局に着いた時には並んでいる順番をすっとばしてお薬を受け取れる利点もあります。ぜひアプリをインストールして活用してみてください。
※調剤予約ができるお薬手帳アプリは他にも、eお薬手帳(日本薬剤師会)、お薬手帳プラス(日本調剤)などがあります。
まとめ
今回は、私が受けている関節リウマチの治療についてお話しました。
関節リウマチは一刻も早く関節の破壊を止めなければいけないので早期治療が大切なのですが、時間もお金もかかることがご理解いただけたかと思います。でも20年前に比べれば治療が格段に進歩しているとのことで、そこは感謝しかありません。
高額療養費制度や調剤予約アプリを上手に使って、少しでもストレスのない治療生活を送りたいものですね!早く自分に合う製剤が見つかるといいなぁ~
次回は、関節リウマチになってから買ってよかった様々なアイテムをご紹介しようと思います。
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