街のうわさで

続々・どんぐりの背比べ

 時々見ているご近所のネット掲示板のようなものがあるのだが、最近「ホームレスが駅前にいついてる」という書き込みがあった。「見るだけで気分が悪くなる」「他のところへ行って欲しい」「いやだよね」という感想ばかりだったので、ちょっと悲しくなった。
 私も犬の散歩中にこのホームレスの人とすれ違うことがある。確かに身なりがかなり汚いので、治安が悪くなるのではと不安に思う人は多いのかもしれない。けれども私はその人とすれ違うたびに、過去に何があったのか今の生活はどうしているのか心配になるし、私に何ができるのだろう何もできないではないかと悶々としてしまうのだ。
 うつがひどかった頃の私は、社会的弱者にひどく共感するようになり生活困窮者の支援などに関心があって、お給料を貯めた預金の中からNPO法人に募金をしたりしていた。その頃知ったのは、今の日本では一度「貧困」に落ちた者は二度と自分の力では立ち上がれなくなってしまうということ。そしてホームレスにならざる得ない人に共通する「居場所がない」という疎外感、孤独感。だからこそ、生活保護を受ける術さえ知らず明日生きるか死ぬかもわからないような人を、ただ見えないところへ排除しろというのは何かが間違っているような気がしてならないのだ。
 かと言って、私には直接声をかける勇気が出ない。こんな田舎じゃなくてもっと都会に出れば、NPO法人のサポートも受けられるのになぁなどと人任せなことを思ってしまう。結局のところ私はやはり偽善者なのだと思う。市役所にでも相談すればどうにかしてもらえるのだろうか。福祉予算って、働かない人でも「文化的な生活」が送れるようにとかじゃなくて、その前にまず本当に行き場のない人にこそ優先的に使ってほしいと思うのだが。

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