夏の音

エッセイ

 朝の情報番組「とくダネ!」を見ていたら『消えゆく日本の夏の音』という特集をやっていた。BGMのない海の家、音の出ない花火、イヤホンをして踊る盆踊り・・・確かに近所の人にとっては大音量は迷惑なのだろうが、あまりにも騒音被害が出ないようにした結果、なんとも味気ない状態になってしまっている感が否めない。
 風鈴の音が近所迷惑だというのはよく聞く話である。2009年には千葉県で風鈴の音などをきっかけとした殺人事件も発生しているそうだ。けれども番組で出ていた数字は”風鈴の音を不快に思う人8%”だった。この数字をどう思うかだが、私は「こんなに少ないの?」とビックリした。あまりにも”風鈴禁止”みたいな話を聞いていたので、日本人はみな風鈴が嫌いになったのかとすら思っていた。実際はほんの一部の人のために、ちょっと過剰に反応しすぎているだけなのではないだろうか。
 しかし逆に、風鈴の音を不快に思う人は8%「も」いると考えることもできる。そのうち何%の人が我慢できずに行動を起こしているのか知らないが、今の世の中1人でも猛烈に怒る人がいたらその人が黙るまでルールを変更するのが当然みたいな風潮。そう考えれば8%というのは多いのかもしれない。
 人間が生きていく上でお互いに多少の迷惑をかけるのは仕方ないと思うし、私などは他の人が楽しんでいるなら少しぐらいは目をつぶってあげたいと思うものだが、中には絶対に許せないという人もいるみたいだ。いやはや世知辛い世の中になったものだ。

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